日本大百科全書(ニッポニカ) 「五歳児」の意味・わかりやすい解説
五歳児
ごさいじ
就学を控えている子供であり、就学に向けて、発達についての検討をしておく必要がある。
第一に、情緒が安定しているかどうか。この点の検討はなかなかむずかしいが、表情が豊かで、家庭のなかでもユーモアがあり、両親のもとにいて楽しい環境にいる子供は、情緒が安定しているといえる。こうした子供は思いやりのある両親から十分にかわいがられてきている。
第二に、自主性が発達しているかどうか。この判断もむずかしいが、生き生きと活動し、次々と遊びをつくりだす子供であり、そのなかにはいたずらも含まれ、いたずらっ子といってもよい。こうした子供は友達を求め、けんかをしながらも、ともに遊ぶことを楽しんでおり、友達の家に行って遊ぶのも好きである。
第三に、適応の能力が発達しているかどうか。ときどき脱線をしてルールを守らないこともあるが、それは自主的に行動しているときである。自己主張をしながらも、約束を守る気持ちがあるし、過ちをしたときに「ごめんなさい」と謝ることもできる。
第四に、知的能力が順調に発達しているかどうか。これは、一つのことをじっと考え、いろいろとくふうをして、そのことの本態をわかろうとしたり、いろいろな面から考える能力である。一般に行われる知能テストはごく一部の知能しか測定していないし、また文字が読めたり、数を数えることのできるのも、多くは記憶によっているにすぎず、知能の一部にしかすぎない。
[平井信義]