仏教用語。普通は、天界の神々である天人(デーバdeva)の命が終ろうとするとき、その身体に五つの衰えが表れるのをいい、これを天人の五衰という。一般には、(1)衣服垢穢(いふくくえ)(衣服が垢(あか)で汚れる)、(2)頭上華萎(ずじょうけい)(頭にかぶっている華(はな)の冠がしおれる)、(3)身体臭穢(しゅうえ)(身体が臭くなる)、(4)腋下汗流(えきけかんる)(腋(わき)の下から汗が流れる)、(5)不楽本座(ふらくほんざ)(自らの位置を楽しまなくなる)の五つをいう。ほかに仏教の戒を犯した者の受ける五つの衰えを犯戒(ぼんかい)の五衰という。これは、財を求めても得ることができず、得てもことごとく衰耗し、衆人に愛敬せられず、悪名が広く流布し、死んでは地獄に落ちるという。
[伊藤瑞叡]
…いずれも災禍をもたらす神である。釈迦が菩薩だったころ,人間界に生まれ出ようと思って五衰の相を現した。そのいずれも天人にはなくて人間にある現象で,その一つに天人にはつかないちりやあかが人間にはつくという(《今昔物語集》天竺部)。…
…すなわち天道,人(にん)(間)道,修羅道,畜生道,餓鬼道,地獄道をいい,このうちとくに畜生道,餓鬼道,地獄道を三悪趣(さんなくしゆ)(三悪道)という。天道は天人の世界で人間の世界の人道より楽多く苦の少ない世界であるが,天人にも死苦があり,死に先立って五衰をあらわす。すなわち衣裳垢膩,頭上花萎,身体臭穢,腋下汗出,不楽本座の五相で死に至る。…
※「五衰」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...