井上其子(読み)イノウエ ソノコ

20世紀日本人名事典 「井上其子」の解説

井上 其子
イノウエ ソノコ

大正・昭和期の社会事業家



生年
明治7年7月1日(1874年)

没年
昭和39(1964)年3月26日

出生地
岡山県児島郡迫間村(現・玉野市)

旧姓(旧名)
高野

経歴
2歳で父と死別、母は心労がかさんで失明という逆境の中で育ち、高等小学校に2年在籍したのちは家計を助けるため働きに出た。18歳で結婚し、4児を儲けるが、45歳の時に大きな借金を抱えたまま夫が急死。以後は借金返済と子育てに奔走し、のちに借金の完済に成功した。その後、念願であった社会奉仕活動に携わるようになり、満州事変が勃発すると、戦地から引き揚げてきた軍人や傷痍兵を慰問するために全国各地部隊や病院を巡回手製の手芸品などを慰問品として贈呈し、兵隊ばあさんの愛称で親しまれた。さらに戦争が激しくなると、慰問行脚のみならず、募金活動なども展開し、軍への飛行機寄附も行った。戦後は戦災者・孤児・戦死者の遺族・戦犯刑死者の遺族など、戦争のために甚大な被害を受けた人たちを幅広く支援した。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「井上其子」の解説

井上其子 いのうえ-そのこ

1874-1964 大正-昭和時代の社会奉仕家。
明治7年7月1日生まれ。18歳で結婚,4児を生む。亡夫の借金を返済しおえたとき,人のために役だちたいとおもい,各地の陸海軍病院,部隊を慰問。戦後も戦災者,傷痍者,遺族,孤児などの援護につくした。昭和39年3月26日死去。89歳。岡山県出身。旧姓は高野。愛称は兵隊ばあさん。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android