(読み)ボウ

デジタル大辞泉 「亡」の意味・読み・例文・類語

ぼう【亡】[漢字項目]

[音]ボウバウ)(漢) モウマウ)(呉) [訓]ない ほろびる ほろぼす
学習漢字]6年
ボウ
存在していたものがなくなる。「亡国亡失興亡焼亡衰亡存亡滅亡
死ぬ。「亡妻亡父亡霊死亡未亡人
その場から逃げて姿を隠す。「亡命亡羊逃亡流亡
〈モウ〉死ぬ。「亡者

もう【亡/望】[漢字項目]

〈亡〉⇒ぼう
〈望〉⇒ぼう

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精選版 日本国語大辞典 「亡」の意味・読み・例文・類語

なき【亡】

  1. 〘 連体詞 〙 ( 文語の形容詞「なし」の連体形が口語に残ったもの。「今はなき」の意で ) 生きていない。すでに死んでこの世にいない。
    1. [初出の実例]「なき我夫(つま)の種よ。形見よ。忘れ草」(出典:浄瑠璃・平仮名盛衰記(1739)三)

ぼうバウ【亡】

  1. 〘 接頭語 〙 すでに亡くなった人の名前の上に付けて、その人が今はない人であることを表わす。なき…。
    1. [初出の実例]「亡(ボウ)末広重恭君の『雪中梅』等其尤なるものにして」(出典:政治小説を作るべき好時機(1898)〈内田魯庵〉)

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普及版 字通 「亡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 3画

(旧字)
3画

(異体字)无
4画

[字音] ボウ(バウ)・ブ・ム・モウ(マウ)
[字訓] しぬ・にげる・ほろぶ・なし

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
死者の屈肢の形。〔説文〕十二下に「るるなり」とし、入+(いん)の会意字で、僻処ににげ隠れる意とするが、乏・(こう)などと同じく死者の象。はなおその頭髪を存する形である。无(む)はの異体字。死去の意より亡失の意となる。亡命者を亡人といい、亡命のときには死葬の礼を用いた。否定詞に用いるのは無・などと同じく、仮借の義である。

[訓義]
1. しぬ、なくなる、死亡。
2. にげる、亡命。
3. ほろぶ、滅亡。
4. なし。無・などと同じく、仮借の義。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 ナシ・ホロブ・ナイガシロ・ニグウス・シヌ・ウスシ 〔字鏡集〕 ウク・ニグ・ウス・ナシ・シヌ・ホロブ・ヤスミ・ウスシ・ワスル・ナイガシロ・カタブク・アマレリ・ウシナフ

[部首]
〔説文〕に乍(さく)・(望)・無・(かい)の四字をこの部に属する。乍は枝を撓(たわ)める形で、まがきを作り、木の枝を圧窄する象。はもと臣(目)に従う形で、遠くを望む望気の礼。無は(舞)の初文で、褒袖の人の舞う形。また〔説文〕十二下が無の奇文としてあげる无は、の異文。は勹(ほう)+の形で屍骨の象。この字だけがに従う。この屍骨の呪霊によって祈るので、は祈(きかい)・求の意に用いる。曷(かつ)はと曰(祝詞)とに従い、喝して求め、謁して求める意である。

[声系]
〔説文〕に声として喪・・肓・(忘)・長・(妄)・氓など十八字を収めるが、喪・肓(こう)・長・などはその声ではない。喪は犬牲に従う字、長は長髪の人、肓は胸骨の形に従い、は屍骨のになお頭毛を存している形で、(荒)の初文。〔説文〕のこの部には字説を誤るものが多い。

[語系]
miuangの本義は死亡。滅miat、蔑myatは声が近く、滅は火を以て祓う意、蔑(べつ)は媚女(呪祝をする巫)に戈(か)を加えてその呪力を絶つ意。一応否定的な意をもつ。罔miuangは同声で(網)の初文。無・毋miua、靡miai、末muat、未・勿miut、makなども声近く、否定詞に用いる。(暮)の初文で、これも一応否定的な意をもちうる語である。この系統の音が、否定詞に用いられる。

[熟語]
亡霊・亡術・亡状・亡頼亡聊・亡逸亡軼・亡・亡帰・亡機・亡去・亡・亡君・亡兄・亡欠亡闕・亡戸・亡故・亡国・亡魂・亡散・亡・亡児・亡失・亡室・亡日・亡者・亡酒亡臣・亡人・亡政・亡絶・亡走亡徴亡逃亡匿・亡徳・亡八・亡・亡父亡敝亡逋・亡命・亡滅・亡羊・亡虜亡隷・亡謂・亡射・亡益・亡何・亡窮・亡形・亡芸亡辜・亡罪亡識・亡実・亡道・亡用・亡慮
[下接語]
遺亡・荒亡・興亡・散亡・残亡・死亡・銷亡・陣亡・衰亡・存亡・殫亡・逃亡・悼亡・敗亡・捕亡・逋亡・補亡・滅亡・流亡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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