京畿湾(読み)けいきわん(英語表記)Kyǒnggi-man

改訂新版 世界大百科事典 「京畿湾」の意味・わかりやすい解説

京畿湾 (けいきわん)
Kyǒnggi-man

朝鮮半島中央部,黄海側の湾。江華湾ともいい,北の長山串(ちようざんかん)と南の泰安半島の間の海域である。沈降海岸の一種で,きわめて複雑な1416kmに達する海岸線江華島はじめ多数の島から成る。海底は浅く,数十kmの沖まで水深50m以下である。漢江,安城江などが湾に注ぐ。潮水の干満差が激しいため(仁川港沖では最高8.1m),ソウルの外港である仁川港は水門式ドックにより大型船舶を出入させている。一方,広く発達した干潟地は塩田,貝類の養殖,干拓など多方面に利用されている。また,潮差を利用した潮力発電の研究も進められている。南部の支湾である南陽・牙山両湾にはダムが建設され,淡水湖として農業用水に使われている。沖合延坪(えんぺい)島近海はイシモチ漁場として知られる。湾沿岸には北から延白平野,金浦平野,平沢平野などが発達しており,朝鮮半島における代表的な水田地帯となっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「京畿湾」の意味・わかりやすい解説

京畿湾
けいきわん / キョンギマン

韓国(大韓民国)、京畿道(けいきどう/キョンギド)西岸の黄海(朝鮮半島では西海とよぶ)に臨む湾。臨津江(りんしんこう/リムチンカン)、礼成江(れいせいこう/リエソンカン)、漢江(かんこう/ハンガン)が流入。北は黄海北道(こうかいほくどう/ファンヘプクド)の長山串(ちょうざんかん/チャンサンコッ)、南は忠清南道(ちゅうせいなんどう/チュンチョンナムド)の泰安(たいあん/テアン)半島に至り、湾内には江華島(こうかとう/カンホワド)、永宗島(えいそうとう/ヨンチョンド)、徳積群島など約130余個の島嶼(とうしょ)が散在。潮汐(ちょうせき)の干満の差が大きく(8~9メートル)港湾発達に不利なため、荷役用に特別な施設(閘門(こうもん)式)がつくられた。湾内の仁川(じんせん/インチョン)港は釜山(ふざん/プサン)に次ぐ韓国第二の貿易港で、首都圏の門戸として商工業が大きく発達している。

[森 聖雨]

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百科事典マイペディア 「京畿湾」の意味・わかりやすい解説

京畿湾【けいきわん】

朝鮮半島中部,黄海に臨む湾。黄海南道南岸から京畿道を経て,忠清南道泰安半島に至る。海岸線は約530km。江華湾,南陽湾,牙山湾,汾郷湾を含み,153の島が散在。海底は遠浅で干満の差が激しい。
→関連項目延坪島京畿道

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