延坪島(読み)えんぺいとう

知恵蔵の解説

延坪島

黄海(西海、朝鮮西海)上にある大延坪島(テヨンピョンド)と小延坪島(ソヨンピョンド)の2島。大韓民国の行政区域であるが、北緯38度よりも南に張り出す朝鮮民主主義人民共和国領の甕津(オンジン)半島に面している。
1953年に国連軍司令部が決めた南北の海の境界である北方限界線の南にあるが、99年に北朝鮮が設けた海上軍事境界線では北の海域の中にすっぽり入りこむことになる。このため、延坪島近海では軍事衝突が絶えず、99年と2002年に海上で南北の銃撃戦が行われ多数の死傷者が出た。
10年11月23日には、朝鮮人民軍により大延坪島にむけて百数十発の砲撃が加えられた。これに対して、島内に展開する韓国軍が応射する砲撃戦になり、戦闘機が緊急出動するなど緊張した事態に発展した。民間人居住地への朝鮮戦争休戦後初めての直接攻撃であり、韓国軍兵士2名、民間人2名が死亡したほか、軍民含む重軽傷者を出した。北朝鮮の声明によれば、延坪島周辺海域での軍事演習中止を求める通知を無視した韓国への対抗措置として大延坪島砲撃を行ったとする。各国からは憂慮や北朝鮮に対する非難の声が集まり、韓国国防相も空爆を示唆するなど強硬な姿勢を示している。

(金谷俊秀  ライター / 2010年)

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百科事典マイペディアの解説

延坪島【えんぺいとう】

韓国,京畿道甕津(おうしん)郡に属する京畿湾の小島。小延坪島と大延坪島からなる。朝鮮三大漁場の一つでグチの漁場として有名。対朝鮮民主主義人民共和国の軍事要塞がある。

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世界大百科事典 第2版の解説

えんぺいとう【延坪島 Yŏnp‘yŏng‐do】

韓国,京畿湾中の島。朝鮮民主主義人民共和国側の甕津(おうしん)半島に近く,大延坪島(面積6.19km2)と小延坪島(同0.94km2)の2島からなる。耕地も若干あるが,大部分が森林で覆われている。現在は対共和国の軍事要塞地となっている。軍人を除く住民の多くは半漁半農の生活を営んでいる。周囲はイシモチの好漁場であり,盛漁期には全国から漁船が雲集する。定期航路が開かれている仁川港からは約80kmの距離にある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

延坪島
えんぺいとう / ヨンピョンド

韓国(大韓民国)、京畿(けいき/キョンギ)湾の北西方に位置し、休戦ラインに近い孤島。京畿道に属する。大延坪島(6.19平方キロメートル)と小延坪島(0.94平方キロメートル)からなる。人口は1888(1980)。東シナ海漁業の中心地。9月のグチ盛漁期には全国から漁船が集まり、人口は1万3000~4000に急増し、波止場市(いち)が立つ。小延坪島には含鉄品位50.4%のチタン磁鉄鉱床があるが未開発である。[森 聖雨]

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