人生は四十二から(読み)じんせいはよんじゅうにから(英語表記)Ruggles of Red Gap

改訂新版 世界大百科事典 「人生は四十二から」の意味・わかりやすい解説

人生は四十二から (じんせいはよんじゅうにから)
Ruggles of Red Gap

1935年製作のアメリカ映画。フランク・キャプラとならぶギャグマン出身のレオ・マッケリー監督人間味あふれる喜劇で,R.スクラーはこの作品を1930年代半ばから40年代初頭にかけて大流行したハリウッドの〈スクリューボール・コメディ〉(階級区分や男女の立場が逆転するクレージーなロマンティック・コメディ)の流れの中に位置づけている。原作はサイレント時代に2度映画化されたことのある(《活躍の天地》1918および《男子改造》1923)H.L.ウィルソンの小説(1915)で,その後もボブ・ホープ主演の喜劇《腰抜け千両役者》(1950)としてリメークされている。イギリス貴族社会の階級制度の中で骨の髄まで召使根性がしみこんだ42歳になる男(チャールズ・ロートン)が,ポーカーのかけに負けた主人の手からアメリカ西部の牧場主の手に渡り,かっての違う自由と独立の国の空気にとまどいながら,やがて一人立ちしてレストランを開くに至るまでの〈アメリカの夢〉を笑いと涙で包んで描く。ジャン・ルノアールは,マッケリーを,ハリウッドの監督のだれよりも人間を愛し理解していると評したが,この作品のあとにつくられた家族制度崩壊現実の中で老夫婦哀歓を描いた悲劇《明日は来らず》(1937。小津安二郎監督の《東京物語》(1953)の原典になったといわれる)とともに,マッケリーのヒューマニズムがもっとも純粋に横溢した作品とされる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

デジタル大辞泉プラス 「人生は四十二から」の解説

人生は四十二から

1935年製作のアメリカ映画。原題《Ruggles of Red Gap》。監督:レオ・マッケリー、出演:チャールズ・ロートン、メアリー・ボーランド、チャーリー・ラグルスほか。第8回米国アカデミー賞作品賞ノミネート。

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