精選版 日本国語大辞典 「仕出」の意味・読み・例文・類語
し‐だし【仕出】
- 〘 名詞 〙 ( 動詞「しだす(仕出)」の連用形の名詞化 )
- ① 作り出すこと。趣向をこらすこと。また、そのもの。工夫。流行。新案。
- [初出の実例]「一代の仕出の上手のまねは、にせべからず、三代、五代もつづきたる人は猶以古法をまもるべし」(出典:わらんべ草(1660)二)
- 「さもなき調度のたぐひ、是は仕出しの風流なり、これは細工の面白しなどいひて」(出典:俳諧・鶉衣(1727‐79)後)
- ② ( 形動 ) よそおい。いでたち。おめかし。おしゃれ。また、流行にのって美しくよそおうさま。
- [初出の実例]「浅黄のあさ上下に茶小紋の着物、小脇指の仕出し常とはかはり」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)七)
- 「まれなる博識に、上京風のいたり仕出しな男ぶり」(出典:浮世草子・世間妾形気(1767)一)
- ③ 生き方。生活の仕方。
- [初出の実例]「堅いしだしの時代親仁。一生女の肌をしらず、朝暮小判を溜る事をのみ面白き業に思ひ」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)三)
- ④ 仕事をはじめること。またその結果、財産をつくり出すこと。身代を大きくすること。また、その人。
- ⑤ 身許をあずかっている人や雇人に食事を出すこと。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑥ 料理などを、注文に応じて調理して届けること。また、その料理。〔多聞院日記‐天正一六年(1588)一〇月一一日〕
- ⑦ 役者などの所作、身ぶり、演技のしかた。
- [初出の実例]「にくげのないげいのし出し」(出典:評判記・役者口三味線(1699)江戸)
- ⑧ 歌舞伎で、幕明きなどに、場面の雰囲気を作ったり、主役の登場までのつなぎをしたりするための端役。また、その役者。しだしの役者。
- [初出の実例]「女郎買の仕出し」(出典:歌舞伎・助六廓夜桜(1779))
- ⑨ 建造物の外側に突き出して構えた所。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- ⑩ 近世の大型和船の外艫(そとども)の上に設けたやぐら。尻矢倉、船頭矢倉、出(だし)矢倉、見送りなど多様の呼称がある。
- [初出の実例]「仕出」(出典:泰宝丸図)