仕打(読み)しうち

精選版 日本国語大辞典 「仕打」の意味・読み・例文・類語

し‐うち【仕打】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「し」は動詞サ変「する」の連用形から。「仕」は当て字 )
  2. 俳優の、舞台での表情的動作。こなし。しぐさ演技
    1. [初出の実例]「お姫様をかばふての仕内には、いかにも男まさりに刀をさばくべし」(出典:役者論語(1776)あやめぐさ)
  3. 芝居見世物興行主。座主。仕打方。〔随筆癇癖談(1791か)〕
  4. 人などに接する時の態度。扱い方。しかた。ふるまい。多く悪い意味に用いる。仕打振り。
    1. [初出の実例]「女郎屋のしうちにぐっとふさいで、夜のあけるを待ちかね帰る」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)上)
  5. 処罰。仕置。
    1. [初出の実例]「既に仕打(シウチ)にされる所、お助けなされて下さりまして」(出典:歌舞伎・夢物語盧生容画(1886)六幕)

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改訂新版 世界大百科事典 「仕打」の意味・わかりやすい解説

仕打 (しうち)

仕内とも書く。(1)芝居興行の出資者,興行者。江戸中期以降,芝居の名目的興行者である座本に資金を出し,実質的に興行を支配した金主を京坂ではこう称した。仕打は,大なり小なり,俳優の雇入れなど興行全般に関わったから,各座の顔ぶれの興趣などその力量によるところが大きかった。大仕打としては化政期(1804-30)の小高屋,天保~嘉永期(1830-54)の植久,明治期の三栄,大清などが知られているが盛衰もまた激しく,明治末期松竹が進出して大仕打の時代は終わった。(2)俳優の舞台での演技(しかた,しぐさ)を仕内といい,狭義にはせりふに対する身振りをさす。
座元(本)
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仕打」の意味・わかりやすい解説

仕打
しうち

金主」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の仕打の言及

【歌舞伎】より

…〈座本〉になる役者は,初期には道外方や親仁方といった老巧の脇役者であったが,しだいに立役がとって代わり,さらに若手の人気役者へ移っていく。その過程で,興行師としての手腕のまったくない座本が出て,興行不振に陥ったとき,役者座本に代わって実質上の興行者になったのが〈芝居師〉(のちの〈仕打(しうち)〉)である。そして,座本は単なる興行上の名義人の地位に落ちる。…

【興行】より

…不入りのために膨大な借金を抱え,江戸三座の座元が窮地に陥ったときの救済策として,北町奉行は1734年(享保19)8月から,他の座元が興行を代行する〈控櫓(ひかえやぐら)(仮櫓)〉の制度を設けた。上方の興行機構は江戸と異なり,興行権の所有者を〈名代(なだい)〉,劇場の持主を〈芝居主〉,興行師でしかも芸の実力と人気を兼備した役者や太夫を〈座本(ざもと)〉(江戸時代中期以降は〈仕打(しうち)〉が職掌として代行)とよび,この3者が提携して興行主体を構成した。なお江戸でいう金主・金方(きんかた)を上方では銀主(ぎんしゆ)・銀方(ぎんかた)といい,興行上の収益も損害も,分散させて処理していく分業システムが採用されていた。…

【座元(座本)】より

…なお,上方には〈座本〉といわれるものがある。江戸と性格が異なり,興行権の所有者〈名代(なだい)〉と,座頭役者(のちには名義ばかりのものになった)で興行師を兼ねた座本(のちにその職掌は仕打(しうち)が代行)とは区別されていた。劇場の所有者を〈芝居主〉と呼び,この3者で興行主体を形づくった。…

※「仕打」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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