日本大百科全書(ニッポニカ) 「伊南」の意味・わかりやすい解説
伊南
いな
福島県南西部、南会津郡にあった旧村名(伊南村(むら))。現在は南会津町の西部を占める地域。旧伊南村は、1955年(昭和30)大川村と合併。2006年(平成18)田島町、舘岩(たていわ)村、南郷(なんごう)村と合併して南会津町となった。国道352号、401号が通じる。伊南川上流にあり、中世の伊南郷の地。中心の古町(ふるまち)は天正(てんしょう)年間(1573~1592)に河原田氏が館(やかた)を構えたと伝える。江戸時代は沼田街道の宿駅で、市(いち)も開かれた。伊南川の氾濫原(はんらんげん)は幅約1キロメートルで、米作のほかトマト栽培も行われる。駒嶽神社(こまがたけじんじゃ)境内の大桃の舞台(おおもものぶたい)は国の重要有形民俗文化財。古町の大イチョウは県指定天然記念物。伊南川沿いに古町温泉、伊南川上流檜枝岐(ひのえまた)川沿いに小豆(あずき)温泉がある。
[安田初雄]
『『伊南村史』全6巻(2000~ ・伊南村、南会津町)』