只見川(読み)タダミガワ

デジタル大辞泉 「只見川」の意味・読み・例文・類語

ただみ‐がわ〔‐がは〕【只見川】

福島県西部を北流する川。尾瀬に発し、阿賀野川に合流する。長さ137キロ。奥只見・田子倉など発電用ダムが多い。

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精選版 日本国語大辞典 「只見川」の意味・読み・例文・類語

ただみ‐がわ‥がは【只見川】

  1. 福島県西部を流れる川。尾瀬沼を水源とし、新潟・福島県境を北流、山都(やまと)町で日橋川を合わせて阿賀野川となる。流域は有数の豪雪地帯で、融雪期の流量と落差を利用した奥只見、田子倉などの大発電所がある。

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日本歴史地名大系 「只見川」の解説

只見川
ただみがわ

〔現流路〕

流路延長一四五・二キロ、流域面積二七九二平方キロ、その内訳は上流域の尾瀬おぜ地区のうち群馬県利根とね片品かたしな村の分が六〇・一平方キロ、奥只見地区のうち新潟県北魚沼きたうおぬま湯之谷ゆのたに村の分が二五三・二平方キロ、そのほかはすべて福島県会津地方に属する。またおもな支流のうち、伊南いな川の流路延長八〇・二キロ、流域面積一〇四六・五平方キロ、野尻のじり川の流路延長三八キロ、流域面積二〇七・四平方キロ、滝谷たきや川の流路延長三二キロ、流域面積一二一・七平方キロである。水源地は群馬・福島両県境にある尾瀬沼(標高一六六五メートル)で、沼から県境に沿って約七キロ西流する沼尻ぬまじり川は、尾瀬ヶ原で群馬県側から流れて来るヨッピ川と合流し只見川となる。これより北流して約三キロの辺りで平滑ひらなめの滝・三条さんじようノ滝となる。さらに約五〇キロ北流し、只見町只見で伊南川と合流するが、その間左岸からなかまた川・きたまた川、右岸から大津岐おおつまた川・白戸しらと川を合流する。奥只見ダムによる銀山ぎんざん(標高約七五〇メートル、面積一一・五平方キロ)田子倉たごくらダムによる田子倉湖(標高五一〇メートル、面積九・九平方キロ)が途中にある。只見から柳津やないづ町まで約五五キロは東流し、その間に左岸から叶津かのうづ川・蒲生がもう川・塩沢しおざわ川・霧来きりきた沢、右岸から山入やまいり川・野尻川大谷おおたに川・滝谷川を合流する。また金山かねやま川口かわぐち三島みしま宮下みやしたの間の右岸に沼沢ぬまざわ(面積二・九八平方キロ)がある。柳津からは北東に流れ、会津坂下あいづばんげ片門かたかど付近からは北にやや蛇行して流れ、耶麻郡山都やまと舘原たてのはらの南で阿賀川に合流する。この間約二〇キロで、合流するのは小川や沢水のみである。以前の文献では日橋につぱし川と合流し、阿賀川となると記述したものもある。流域の福島県側の町村名を記すと、上流から檜枝岐ひのえまた村・只見町・金山町・三島町・柳津町高郷たかさと村・山都町となり、支流伊南川では檜枝岐村舘岩たていわ村・伊南村南郷なんごう村・只見町、支流野尻川では昭和しようわ村・金山町、支流滝谷川では昭和村・柳津町となる。只見川流域には広い平地はなく、大部分が越後山脈や一部帝釈たいしやく山脈に属するところで、南端には東北地方で最高のひうちヶ岳(二三五六メートル)がある。支流の伊南川流域にはこまヶ岳(二一三二メートル)会津朝日あいづあさひ(一六二四メートル)があり、只見付近には浅草あさくさ(一五八六メートル)、金山町本名ほんな付近には御神楽みかぐら(一三八六・五メートル)がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「只見川」の意味・わかりやすい解説

只見川
ただみがわ

福島、新潟県を流れて日本海に注ぐ阿賀野川(あがのがわ)の支流の一つ。最上流は福島・群馬県境にある尾瀬(おぜ)沼に発する沼尻川(ぬまじりがわ)と、尾瀬ヶ原に発するヨッピ川で、二つの川は福島・群馬・新潟県境で合流して只見川となる。さらに福島・新潟県境を北流し、南会津郡只見町西部で向きを北東に転じ、喜多方(きたかた)市山都(やまと)町と同市高郷(たかさと)町の境界で阿賀川(福島県での阿賀野川の呼び名)に注ぐ。流路延長137キロメートル。流域面積は約2900平方キロメートルに及ぶ。尾瀬ヶ原北端の平滑(ひらなめ)ノ滝、三条ノ滝を経て深い峡谷となり、中流部では奥只見湖銀山湖)、田子倉(たごくら)湖をはじめとする多くのダム湖を連ねる。豊富な水量を利用して電源開発が進められ、上流から大津岐(おおつまた)(支流)、奥只見、大鳥、田子倉、只見、滝、本名(ほんな)、上田(うわだ)、宮下、柳津(やないづ)、片門(かたかど)のダムがつくられた。中流部の只見町付近から下流では河岸段丘を伴いながら典型的な穿入(せんにゅう)曲流路となる。川に沿ってJR只見線、国道252号が走るが、一帯は豪雪地帯であり、冬季交通路の維持は困難を極める。狭小な段丘上に只見・金山(かねやま)・三島・柳津の各町の中心集落が立地する。上流部は尾瀬国立公園、中流部は越後三山只見国定公園(えちごさんざんただみこくていこうえん)に指定されている。

[中村嘉男]

『塩川朝夫著『只見川――その自然と電源開発』(1964・福島民報出版局)』


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改訂新版 世界大百科事典 「只見川」の意味・わかりやすい解説

只見川 (ただみがわ)

福島県西部を流れる川。日本海に注ぐ阿賀野川の支流。福島県南西端,群馬県境にある尾瀬沼(水面高度1665m)に発し,尾瀬ヶ原湿原の水を集めて福島・新潟県境に深い峡谷をつくって北流する。途中には約500mにわたって火成岩の緩傾斜面を滑るように流れ落ちる平滑(ひらなめ)ノ滝や落差約100mの三条ヶ滝がある。南会津郡只見町只見付近で支流の伊南(いな)川を合わせて,穿入(せんにゆう)蛇行しながら北東流し,数段の河岸段丘を形成して喜多方市の旧山都(やまと)町で会津盆地から西流する阿賀川に合流する。阿賀川は新潟県に入って阿賀野川となる。合流点までの幹川流路延長145km,全流域面積2792km2

 合流地点の標高は約170mで源流からの落差が大きく,また広大な流域一帯が冬季には平地でも積雪が4mを超えることが多い豪雪地帯であるため水量が豊富であり,日本有数の包蔵水力をもつ。阿賀野川筋では第2次大戦前から水力発電所の建設が進められていたが,戦後電源地として脚光を浴びた。只見川の本格的な電源開発計画は,1946年に当時の日本発送電会社が尾瀬沼から只見川本流の調査を行ったのに始まるが,発電所建設をめぐり福島県側の主張する本流案と新潟県側の分流案が対立,アメリカの海外技術調査団に調査を依頼するなどした結果,本流案が妥当とされ,52年から本格的工事が開始された。これにより只見川筋には下流から片門(かたかど),柳津(やないづ),上田,本名(ほんな),田子倉(たごくら)ダム奥只見ダムなどが建設された。田子倉(最大出力38万kW),奥只見(同36万kW)は建設当時日本1,2位の出力をもつ発電所で,現在も揚水を伴わない水力発電所としては日本有数の規模をもっている。ダム建設により出現した田子倉湖,銀山湖(奥只見湖)の沿岸は景観にすぐれ越後三山只見国定公園,上流部の尾瀬付近は日光国立公園に指定されている。
奥只見
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百科事典マイペディア 「只見川」の意味・わかりやすい解説

只見川【ただみがわ】

福島県西部を流れる川。阿賀野川の支流で,長さ137km。尾瀬沼に発し尾瀬ヶ原の水を集めて北流,山都町(現・喜多方市)で日橋川と合し阿賀野川になる。深雪地帯の山地を流れ,落差が大きく,包蔵水力は日本有数。江戸時代には赤の川とも記され,1640年に銀が発見されたという。近現代には大規模の電源開発が行われた。奥只見ダム田子倉ダム等多くのダムがある。
→関連項目越後三山只見国定公園越後山脈金山[町]只見[町]沼沢湖燧ヶ岳三島[町]柳津[町]六十里越(福島・新潟)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「只見川」の意味・わかりやすい解説

只見川
ただみがわ

福島県西部を流れる川。全長 137km。群馬県との県境にある尾瀬沼,尾瀬ヶ原に源を発し,県境をなしつつ北流,只見町付近で北東流し伊南川,野尻川などを合わせ,喜多方市で猪苗代湖から流出する日橋川と合流する。ここまでが只見川で,以降は阿賀川,新潟県で阿賀野川となって日本海に注ぐ。只見町までの 50kmは険しい山地を流れ,その流域はほとんど無人の豪雪地域となっている。流域は水資源の宝庫で,日本屈指の規模のダム湖をもつ奥只見ダム田子倉ダムなどが連なる電源地帯。上流部には銀山平,不動滝などがあり,田子倉-柳津間の美しい渓谷は只見ラインと呼ばれる景勝地。上流部は日光国立公園,中流部から下流にかけては只見柳津県立自然公園に属する。

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世界大百科事典(旧版)内の只見川の言及

【尾瀬ヶ原】より

…阿賀野川支流,只見川の源流部の小盆地に形成された日本屈指の高位泥炭地(高層湿原)。長さ6km,幅2km,面積7.6km2。…

※「只見川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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