伊良湖東大寺瓦窯跡(読み)いらごとうだいじがようあと

日本歴史地名大系 「伊良湖東大寺瓦窯跡」の解説

伊良湖東大寺瓦窯跡
いらごとうだいじがようあと

[現在地名]渥美町伊良湖 瓦場

渥美半島の先端に近く和名わな(一三八メートル)と岩堂山(九七・七メートル)が並び、両者の間を西南に開析して初立はつたち谷がある。瓦窯跡はこの初立谷から南に入込む瓦場かわらば谷の西南斜面(標高一一・五―一四・五メートル)に位置し、三基が確認されている。現況は豊川用水初立ダムの堰堤の南側前面に、埋戻し保存されている。三基のうち北窯には分炎柱が認められないが、いずれも東海地方通有の窖窯である。

出土遺物には、山茶碗・小皿・鉢類・壺類もみられるが瓦類が圧倒的に多い。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「伊良湖東大寺瓦窯跡」の解説

いらごとうだいじかわらがまあと【伊良湖東大寺瓦窯跡】


愛知県田原市伊良湖町にある窯跡。渥美半島先端近くの豊川用水初立池(はつたちいけ)の南側斜面に位置する窯跡で、3基の登り窯と1基の平窯からなる。窯の全長は11.3~11.5m、最大幅は2.5mほどで、渥美古窯の中期段階の窯に特徴的な分焔柱(ぶんえんちゅう)(炎が両側からまわって窯内の温度が一定になるようにする柱)のある船底形の構造である。1180年(治承4)に焼失した東大寺は、俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)などによって1195年(建久6)には大仏殿が、その後もいくつかの建物が復興された。この大仏殿などの再建に関わる瓦が、岡山県岡山市東区瀬戸町にある万富(まんとみ)東大寺瓦窯と伊良湖東大寺瓦窯で焼かれたのである。発掘調査によって出土した軒丸瓦(のきまるがわら)と軒平(のきひら)瓦には、いずれも「東大寺大仏殿瓦」の7文字が配され、平瓦にも「東」の刻印が見られる。ほかに瓦経片や瓦塔片、山茶碗、小皿、鉢、陶錘(とうすい)などが少量出土している。1967年(昭和42)に国の史跡に指定され、出土品は田原市渥美郷土資料館の埋蔵文化財室に展示されている。豊鉄渥美線三河田原駅から豊鉄バス「亀山西」下車、徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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