日本大百科全書(ニッポニカ) 「住宅性能表示制度」の意味・わかりやすい解説
住宅性能表示制度
じゅうたくせいのうひょうじせいど
住宅流通の円滑化と合理化のために住宅性能を表示する制度。2000年(平成12)施行の「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(平成11年法律第81号)を根拠法とする。新築住宅と既存住宅(中古住宅)の両方に適用することができる。住宅は一般の工業製品のように性能・仕様が明示されたりJIS規格があるわけでもなく、一般消費者にとっては住宅の状態を的確に評価することはむずかしかった。この制度は、国に登録された第三者機関が共通の表示基準で評価して住宅性能を評価書として表示し、住宅購入者に正確な情報を伝えるとともに事後にトラブルが発生しても円滑で迅速な紛争処理を行えるようにしたものである。共通基準には、構造、防火、劣化軽減、維持管理・更新への配慮、温熱環境、空気環境、光・視環境、音環境、高齢者配慮、防犯の10分野があり、それぞれに表示すべき項目が複数ある。新築住宅と既存住宅とでは一部が異なり、既存住宅には劣化状態に関する項目が加わる。それらの項目について等級を判定して住宅性能評価書が作成される。評価書を取得することによって住宅融資の優遇などを得られることもある。
[多治見左近]