日本大百科全書(ニッポニカ) 「住民基本台帳閲覧制度」の意味・わかりやすい解説
住民基本台帳閲覧制度
じゅうみんきほんだいちょうえつらんせいど
住民基本台帳法により規定された、住民基本台帳の閲覧に関する制度。2006年(平成18)11月から同法の一部を改正する法律が施行され、だれでも閲覧を請求できたこれまでの制度が廃止された。個人情報保護に留意した新制度では、住民基本台帳の写しを閲覧できるのは、国や地方公共団体が法令の定める事務を行う場合と、統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究のうち、公益性が高いと認められる活動等に限られることになった。閲覧のための手続も整備され、本人確認や利用目的の明示が必要となり、誓約を偽った場合の処分や制裁が強化された。さらに、ストーカー行為や配偶者からの暴力(ドメスティック・バイオレンス)などを受けている被害者を保護するため、被害者本人などから閲覧拒否申請を受けた場合、台帳の閲覧や住民票の交付を制限できるようになった。また、住民から要請を受けた市区町村の戸籍担当部署が住民基本台帳ネットワークシステムに閲覧制限情報を記録することにより、その情報は転居先などの自治体においても共有される。
しかし、2012年11月に神奈川県逗子(ずし)市で起きたストーカー殺人事件では、被害者の女性が閲覧制限を申請していたにもかかわらず、加害者の依頼した探偵事務所が逗子市役所から個人情報を入手していたことが発覚し、自治体の個人情報管理体制やストーカー規制法の不備が社会問題になった。
[編集部]