各種行政の基準とするため、住民に関する各種の事項を、市町村(特別区を含む)において一元的に記録しておく基本的な台帳。1967年に住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)により設けられ、これとともに従前の住民登録制度は廃止された。従来は、住所や世帯を変更した場合、転入届のほかに、それぞれの制度ごとに別々に届出を必要とした。これらの届出制度は各種行政にわたり不統一で煩雑であったため、住民にとっては不便で、かつ行政事務処理には不都合で正確性を期しがたかった。これに対し、住民基本台帳は、住民の氏名、生年月日、男女別、世帯主との続柄、戸籍の表示、住民となった年月日、住所、国民健康保険、国民年金、介護保険、米穀の配給、選挙人名簿、児童手当、住民票コードなどに関する事項を原則として届出により、個人を単位としてひとまとめに記載する住民票を世帯ごとに編成したものである。これにより、各種行政はこの記載を基準として統一的に処理されることになり、記録の正確性、住民の利便の向上、事務処理の合理化が図られる。住民基本台帳は何人(なんぴと)も閲覧することができ、住民票の写しは何人も交付を求めることができるのが原則である。しかし、他人の住民票を閲覧してプライバシーを侵害する事例が発生しているため、請求理由が不当な目的によることが明らかな場合等には閲覧を拒否できる等の法律改正がなされた(1986年6月施行)。
届出は住民票作成の基礎となる重要なものであるが、転出の場合は、転出前に従前地の市町村長に転出届を提出して転出証明書の交付を受けてから転入するものとしたほか、転入届・転居届・世帯変更届は事由発生日から14日以内にしなければならず、違反者は5万円以下の過料に処せられる。また、住民基本台帳と本籍との照合を図るため戸籍の附票の制度があり、記載の正確性が期されている。
1990年代には、行政情報の電子化が急速に進み、住民基本台帳も、住民の利便を図り、国や自治体行政の合理化に資することが望まれるようになった。1999年(平成11)8月、法改正が行われ、記載事項として11桁(けた)からなる住民票コードを追加すること、住民の申請により住民基本台帳カードを交付すること、個人情報保護のための措置を講ずること、が盛り込まれた。その後、2002年8月から住民基本台帳ネットワークシステムが稼動した。このシステムによって、本人確認のための氏名、性別、生年月日、住所の四つの情報について全国共通のコンピュータ管理が行われている。
[阿部泰隆]
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…51年の住民登録法は,これを法制化し,寄留法を廃止した。さらに住民登録法は,67年の住民基本台帳法によって代えられた。しかし,今なお,住民基本台帳(〈住民票〉の項参照)への登録を,寄留と俗称する人もある。…
…市区町村長が,住民基本台帳法(1967公布)に基づいて,住民の利便と国および地方公共団体の行政の合理化を目的として作成する住民に関する公文書。同法は日本国籍を有する者についてのみ適用され(住民基本台帳法39条),したがって外国人は〈住民〉ではなく,外国人登録法によって〈在留〉を登録する。…
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