佐井郷(読み)さいごう

日本歴史地名大系 「佐井郷」の解説

佐井郷
さいごう

和名抄」高山寺本・東急本ともに訓を欠く。正倉院御物の天平感宝元年(七四九)八月の揩布屏風袋の墨書名に「佐位郡佐位郷戸主前部黒麻呂」「郡司大領外前部君賀味麻呂」がみえ、当郷に前部が居住し、前部君が佐位郡の郡司であった。「続日本紀」天平神護二年(七六六)一二月一二日条で、外従五位下檜前部老刀自が従五位上を授与されている。同書神護景雲元年(七六七)三月六日条には、「賜姓佐位郡人外従五位上檜前君老刀自上毛野佐位朝臣」、同二年六月六日条に「以掌膳上野国佐位采女外従五位下上野佐位朝臣老刀自、並為本国国造」とある。


佐井郷
さいごう

「和名抄」道円本・高山寺本・東急本に佐井とあり、訓はない。「豊後国風土記」には「佐尉の郷 郡の東にあり この郷の旧の名は酒井なりき。今、佐尉の郷と謂うは、、訛れるなり」とする。地名酒井さかいの由来については明らかでない。当郷と佐加さか郷との郷堺は不明確であるが、丹生にゆう川を境堺と考えると、当郷には亀塚かめづか古墳を中心に大蔵おおくら古墳・大在おおざい古墳など有力な古墳群が存在し、尾崎おざき横穴墓群、城原じようはる横穴墓群など古墳時代後期の物も多い。


佐井郷
さいごう

「和名抄」諸本とも訓を欠く。遺称地はない。「因幡民談記」に「石田ノ川辺」に近年まで川中に小さい島があり「サイ」とよんでいたと記されることなどから、現河原かわはら町北部に比定されるが(鳥取県史)、現船岡ふなおか町の旧船岡村地区一帯に比定する説もあり未詳

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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