何じょう(読み)ナンジョウ

デジタル大辞泉 「何じょう」の意味・読み・例文・類語

なん‐じょう〔‐でふ〕【何じょう】

《「なんという」の音変化》
[副]反語を表す。どうして…か。なんで…か。
「―かかる事にひるむべき」〈河上肇貧乏物語
[連体]
どういう。何という。
「―心地すれば、かく物を思ひたるさまにて、月を見給ふぞ」〈竹取
(反語を表す語を伴って)どうという。どれほどの。たいした。
「―事か候はん」〈今昔・二六・一四〉
[感]なにを言うか。とんでもない。
「―、汝がなにほどの恩を見せけるぞや」〈仮・伊曽保・中〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何じょう」の意味・読み・例文・類語

なん‐じょう‥でふ【何じょう】

  1. [ 1 ] 〘 連体詞 〙 ( 「なんという」の変化したもの。「何条」と漢字をあてることもある ) 実体の不明なもの、または問題とするに及ばないものをさす。どうという。なんという名の。
    1. [初出の実例]「なんでうここちすればかく物をおもひたるさまにて月を見給ぞ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙
    1. 事の状況、特に相手の意見・態度に対する強い疑問、または反発気持を表わす。どうして(…するのか)。また、反語的にも用いる。どうして(…するだろうか)。
      1. [初出の実例]「かぐや姫のいはく、なんでうさることかし侍らんと言へば」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. いろいろな手段を尽くして事を行なう気持を表わす。また、断定決意の表現に用いる。なんとかして(必ず)。なんとしても。どうしても。
      1. [初出の実例]「なんてう其儀あるまじ。祇王とうとう罷出よ」(出典:高野本平家(13C前)一)
  3. [ 3 ] 〘 感動詞 〙 相手の発言を否定しさえぎることば。とんでもない、それは違う。何を言うか。
    1. [初出の実例]「仏御前こそ参りて候へ、と申ければ、入道相国、何条、左様の遊者は人の召に随てこそ参れ、左右無推参する様や有る」(出典:平松家本平家(13C前)一)

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