例損(読み)れいそん

精選版 日本国語大辞典 「例損」の意味・読み・例文・類語

れい‐そん【例損】

〘名〙
平安時代、あらかじめ定められた租の減収率。租は、計算上での収納見込量の三割を天災などによる恒常的な損失として免除し、残りの七割を収納することとした。この免除された三割を例損という。この法を不三得七の法といい、一時、不二得八の法に変わったこともある。
延喜式(927)二二「凡下野、讚岐等国准大国九戸例損
② 平安時代、特別の理由でなく調庸が減収すること。年齢が増して調庸負担者である正丁老丁となるなど。⇔例益(れいやく)
※延喜式(927)二五「依例所損、以為例損
中世荘園で、恒例損田として帳簿処理した田地
※東大寺続要録(1281‐1300頃)寺領章「例損三町八段」

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デジタル大辞泉 「例損」の意味・読み・例文・類語

れい‐そん【例損】

平安時代、病虫害などによる田地の収穫減少が10分の3以下のもの。→異損
平安時代、重病死亡などにより、本人調庸を減免したこと。

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世界大百科事典(旧版)内の例損の言及

【損田法】より

…したがって被災国の口分田収納田租は,全得田戸の田積と損4分以下戸の得田積からの租ということになる。(2)損戸処分法 704年(慶雲1),706年には,被害不熟で〈調庸を免除すべき者〉(損7分以上の戸)について,49戸以下は国司処分(例損),50戸以上は太政官処分,300戸以上は奏聞(以上異損),その太政官への言上は9月30日以前とする処分法が制せられた。その国司処分については802年(延暦21)に,国の大小により,大国49戸以下,上国39戸以下,中国29戸以下,下国19戸以下とする処分戸数の差が設けられた。…

※「例損」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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