正丁(読み)セイテイ

デジタル大辞泉 「正丁」の意味・読み・例文・類語

せい‐てい【正丁】

律令制で、21歳以上60歳以下の健康な成年男子の称。調雑徭ぞうよう兵役などの課役対象となった。しょうてい。

しょう‐ちょう〔シヤウチヤウ〕【正丁】

せいてい(正丁)

しょう‐てい〔シヤウ‐〕【正丁】

せいてい(正丁)

せい‐ちょう〔‐チヤウ〕【正丁】

せいてい(正丁)

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「正丁」の意味・読み・例文・類語

せい‐てい【正丁】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、二一歳以上六〇歳以下(のちには二二歳以上五九歳以下と改められた)の健康な成年男子の称。丁(よぼろ)。調・庸・徭・兵役などの課役の対象となった。三歳以下を黄(大宝令では緑児)、一六歳以下を少、一七~二〇歳を中男(ちゅうなん)(大宝令、少丁)、六一~六五歳を老、六六歳以上を耆と称した。また、身体健全でない者はその度合によって残疾・廃疾・篤疾に分けられた。
    1. [初出の実例]「下下戸主小麻呂 年四十六正丁」(出典:正倉院文書‐大宝二年(702)一一月・御野国味蜂間郡春部里戸籍)

しょう‐ちょうシャウチャウ【正丁】

  1. 〘 名詞 〙せいてい(正丁)

しょう‐ていシャウ‥【正丁】

  1. 〘 名詞 〙せいてい(正丁)

せい‐ちょう‥チャウ【正丁】

  1. 〘 名詞 〙せいてい(正丁)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「正丁」の意味・わかりやすい解説

正丁【せいてい】

律令制において課税対象となる成年男子を丁(〈よほろ〉とも)といい,そのうち21〜60歳までの男子を正丁とし,庸(よう)・調(ちょう)・徭(よう)などの課役を賦課。律令国家財政の基本とした。養老令では年齢により黄(おう)(1〜3歳)・小(4〜16歳)・中(17〜20歳)・丁(21〜60歳)・老(61〜65歳)・耆(き)(66歳以上)に区分されており,正丁を基準老丁次丁)と残疾(21〜60歳の軽度の身体障害者)は2分の1,中男(ちゅうなん)(少丁)は4分の1を賦課した。なお758年から正丁は22〜59歳,老丁は60〜64歳,中男は18〜21歳に改正された。
→関連項目中男作物

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「正丁」の意味・わかりやすい解説

正丁(せいてい)
せいてい

大宝令(たいほうりょう)および養老(ようろう)令で定められた成年男子に対する呼称で、21歳から60歳までの男子で、身体上の障害のない者をいう。のち757年(天平勝宝9)4月には22歳以上とし、さらに758年(天平宝字2)7月には22歳から59歳までを正丁とすることとした。この正丁であるかどうかの判定は、毎年つくられる計帳および6年ごとにつくられる戸籍によって行われ登録された。調庸(ちょうよう)、雑徭(ぞうよう)、兵役の負担など課役の対象となった。調庸の租税の額は正丁1人を基準として定め(賦役(ぶやく)令)、中男(ちゅうなん)、老丁(ろうてい)などは正丁の額の何分の1かを負担することになっていた。正丁の制度は戸籍計帳の制度が崩れる10世紀ごろまで続いたが、以後消滅していくこととなった。

[鬼頭清明]


正丁(しょうてい)
しょうてい

正丁

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「正丁」の解説

正丁
せいてい

律令制下の正規の課役負担者である良民の成年男子。調・庸の貢納や力役・兵役など,諸負担の主たる担い手として位置づけられる。丁はまた戸令の規定する年齢区分の一つで,21~60歳の男女を丁(正丁・丁女)という。籍帳に記載された実例では,丁男・正女という表現もある。正丁の年齢の範囲は,757年(天平宝字元)4月には22歳以上,翌年7月には59歳までと縮小された。これは農民の負担軽減を理由にしているが,藤原仲麻呂による民心掌握策とみられる。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正丁」の意味・わかりやすい解説

正丁
せいてい

律令制で,調,庸 (→租・庸・調 ) ,雑徭 (ぞうよう) ,兵士などの課役を負担する,21~60歳の身体上障害のない男子。天平宝字1 (757) 年には 22~60歳となり,翌年には 22~59歳となった。 (→少丁 )  

正丁
しょうてい

正丁」のページをご覧ください。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「正丁」の解説

正丁
せいてい

律令制下の成年男子
大宝令で規定された21〜60歳(のち22〜60歳,22〜59歳となる)の男子。租庸調・雑徭 (ぞうよう) ・兵役など,律令制の諸負担を課せられた。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

普及版 字通 「正丁」の読み・字形・画数・意味

【正丁】せいてい

役丁。

字通「正」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の正丁の言及

【課丁】より

…古代の律令において,課役(かえき)を負担する丁男をさす用語。律令では21歳から60歳までの男子を正丁とし,正丁に対して課役を賦課するのを賦役制度の基本とした。また61歳から65歳の男子を老丁,17歳から20歳までの男子を中男(大宝令では少丁)とし,老丁は残疾(21~60歳の軽度の身体障害者)とともに次丁とされ,正丁の課役の量の2分の1を課せられ,中男は正丁の4分の1を課せられた。…

【中男作物】より

…律令時代の諸国からの貢納品の一種。律令では中男(17歳から20歳の男子,大宝令では少丁)に正丁(21歳から60歳の男子)の4分の1の調を課し,また正丁には調のほかに調副物として種々のものを納めさせていた。しかし717年(養老1)には,調副物を廃止するとともに中男の調も止め,その代りに,中央官庁が必要とする物品の必要量を概算して諸国に貢納を命じた。…

※「正丁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android