日本大百科全書(ニッポニカ) 「俘囚の乱」の意味・わかりやすい解説
俘囚の乱
ふしゅうのらん
古代末期、いったん政府統治下に入った蝦夷(えぞ)の起こした反乱。俘囚とは政府側に降伏した蝦夷のこと。彼らは、集団的に内国に移住させられる場合と、東北地方の現地に特定地域を指定されて、そこに定住させられる場合とがあった。どちらの場合にも、彼らは従来の組織を解かず、俘囚長の直接支配下に置かれたから、政府の地方政治が緩むにつれて、反乱を起こすようになった。その例として、814年(弘仁5)の出雲(いずも)、848年(嘉祥1)の上総(かずさ)、878年(元慶2)の下総(しもうさ)、883年の上総などの俘囚の乱があるが、そのなかでもっとも大規模なものとして、878年出羽(でわ)国秋田城下に起こった元慶(がんぎょう)の乱がある。秋田城や郡衙(ぐんが)を襲い、官舎や民家を焼き払い、秋田河(雄物(おもの)川)以北の地の独立さえ要求した。前九年・後三年の役はその最後の反乱といえる。
[高橋富雄]