個人請負(読み)コジンウケオイ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「個人請負」の意味・わかりやすい解説

個人請負
こじんうけおい

企業に雇われて働くのではなく、個人事業主として企業と業務請負契約を結び、仕事をする者のこと。インディペンデント・コントラクターindependent contractor、コントラクト・ワーカーcontract workerともいう。高度な専門技術や知識をもつ者(たとえばIT技術者や商品プランナー、イベントプロデューサーなど)が、プロジェクト単位で仕事を請け負うケースが多い。被雇用者ではないので、労働法規による保護や規制は受けない。たとえば、仕事中の事故やけが労働災害にはならないので、自ら傷害保険に加入するなどの対応が必要である。基本的に、請け負った仕事の成果にのみ責任を負うので、仕事を行う時間や場所は自由に決められ、仕事のしかたについても発注元から指示されることはない。しかし、セキュリティ確保や発注側の企業の都合によって、仕事の時間や場所を指定されたり、仕事のしかたについて指示を受けたりする場合がある。このようなケースは、場合によっては「偽装請負」として、実際には雇用関係にあるにもかかわらず、個人請負と偽装したとみなされる場合がある。

 アメリカ合衆国では、個人請負はホワイトカラー高度専門職の働き方として定着しており、連邦労働省によれば人数は約2550万人、全雇用者・契約労働者の約21%を占める(2015年統計)。日本でも、経済・市場動向の先行きが不透明なため、正社員採用を手控え、臨時の仕事は個人請負に発注する傾向があるが、被雇用者と異なり、失業保険のような病気やけがで働けなくなったときの保障がないため、リスクの高さからアメリカほど普及していない。

[鹿住倫世 2023年11月17日]

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