イギリスの高級朝刊紙。1986年の創刊で、『タイムズ』『ガーディアン』『デーリー・テレグラフ』の「ビッグ・スリー」が固めていた高級紙マーケットへの131年ぶりの新規参入として、当時大きな注目を集めた。『デーリー・テレグラフ』の記者だったアンドレアス・ウィッタム・スミスAndreas Whittam Smith(1937― )、スティーブン・グローバーStephen Glover(1952― )、マシュー・サイモンズMatthew Symonds(1953― )の3人が創刊の中心であった。リベラル中道の編集路線で読者をひきつけようとしていた。海外・国内ニュース、レジャー、芸術などのページは好意的に受け止められ、既存の高級紙の若くリベラルな男性読者が『インディペンデント』に乗り換えたといわれる。創刊の年の部数は27万部ほどだったが、1989年、1990年には41万部にまで伸びた。しかし、同紙の参入によって厳しい高級紙マーケットに報道、紙面デザイン、値引きなどの競争の火がつき、一段せり上がった競争環境のなかで徐々に部数が減り、財政的にも逼迫(ひっぱく)していった。1990年代は、『インディペンデント』にとって、経営と財政の苦境が深まった時代で、所有者が次々とかわり、厳しいリストラが実施された。その苦境のさなかの1995年、創業者の一人スミスが社を去り、1998年にはアイルランドのメディア企業インディペンデント・ニューズ・アンド・メディア社(INM)が支配権を握った。INMは2010年に同紙をアレグサンダーAlexanderとエフゲニーEvgenyのレベデフLebedev父子の経営する会社(インディペンデント印刷会社)に売り渡した。発行部数は、2000年には22万部だったのが、2011年時点では18万部に減少している。
[橋本 直]
『マイケル・クロージャー著、川上宏・岩崎千恵子訳『創刊――インディペンデント紙の挑戦』(1991・サイマル出版会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… なお1950年代には原油価格に下降圧力を加える二つの構造変化があった。一つは,中東産油国において原油生産量が着実に増加したこと,もう一つは,独立系石油会社(インディペンデント)が国際石油産業に新規参入してきたことである。
[OPECの設立]
石油会社によって産油国に支払われる所得税の算定基準になった〈公示価格〉が,1959年と60年に相次いで石油会社によって引き下げられた。…
※「インディペンデント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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