ホワイトカラー(英語表記)white-collar worker

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホワイトカラー」の意味・わかりやすい解説

ホワイトカラー
white-collar worker

企業体の中・下級管理者,専門職従事者,事務,ときに販売にたずさわる非現業部門の雇用労働者の総称。現代社会における科学技術の発展と組織化,さらに官僚制進行によって,直接生産にたずさわらない管理,販売,情報などの部門が拡大され,その結果,それ自体は生産手段,営業手段を所有せず,被雇用者であるが,一定学歴や能力によって評価される。また経済力,生活水準においては中産階級のレベルに達する社会層として大量に生み出された。ここからホワイトカラー旧中間層に代る新中間層と呼ばれている。職住の生活拠点が一致または隣接している旧中間層に対し,ホワイトカラーではこれが分離されていることから,地域的社会への志向や政治意識は「無関心型」と規定されるのが通例であったが,住民=市民の権利意識という観点からみれば,住民=市民としての必要最小限の生活基盤の確保という,いわゆるシビルミニマム発想や,近代化の発想を身につけている層ともいえる。それは,旧中間層にしばしばみられる地域共同意識と異質であると同時に,権力エリートや大企業主の意識とも明白な断絶を示す。これはホワイトカラー層の量的増大がその階層分化を生み,相対的にその地位の低下した者が多くなったことの端的な現れであり,ホワイトカラーを中心とする新中間層の分解化がしばしば指摘されるゆえんである。

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