(読み)しぬぶ

精選版 日本国語大辞典 「偲」の意味・読み・例文・類語

しぬ・ぶ【偲】

〘他バ四〙 (上代は「しぬふ」)
(イ) (「しのふ(偲)」の変化した語) =しのぶ(偲)(一)①
万葉(8C後)二・二三三「高円野辺秋萩な散りそね君が形見に見つつ思奴播(シヌハ)む」
(ロ) (現在、「の」の甲類の万葉仮名とされている「怒」「努」「弩」などを「ぬ」とよんだところからできた語)
(イ) に同じ。

しぬび【偲】

〘名〙 (上代は「しぬひ」)
(イ) (動詞「しぬぶ(偲)(イ)」の連用形名詞化) ひそかに思い慕うこと。
※万葉(8C後)二〇・四四〇五「わが妹子が志濃比(シヌヒ)にせよと着けし紐糸になるとも我(わ)は解かじとよ」
(ロ) (動詞「しぬぶ(偲)(ロ)」の連用形の名詞化)
(イ) に同じ。

しのび【偲】

〘名〙 (動詞「しのぶ(偲)」の連用形の名詞化。古くは「しのひ」) 過去のことや離れている人のことなどを思い慕うこと。また、それを思い出す材料
※万葉(8C後)九・一八〇一「葦の屋の 菟原処女(うなひをとめ)の 奥津城(おくつき)を わが立ち見れば 永き世の 語りにしつつ 後人の 偲(しのひ)にせむと」

しのばし【偲】

〘形シク〙 (動詞「しのぶ(偲)」の形容詞化) したわしい。恋しい。忘れがたい。
※今鏡(1170)一「政事うるはしく、しのばしかりければ、このなしの木きることなかれ」

しの・う しのふ【偲】

〘他ハ四〙 ⇒しのぶ(偲)

しの・ふ【偲】

〘他ハ四〙 ⇒しのぶ(偲)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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