乳糖(読み)ニュウトウ(英語表記)milk sugar

翻訳|milk sugar

デジタル大辞泉 「乳糖」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐とう〔‐タウ〕【乳糖】

哺乳類の乳に含まれている二糖類。わずかに甘い、無色結晶加水分解でぶどう糖とガラクトースになる。人工乳などに利用化学式C12H22O11 ラクトース

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精選版 日本国語大辞典 「乳糖」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐とう‥タウ【乳糖】

  1. 〘 名詞 〙 乳汁に含まれている二糖類の一種。哺乳類の乳汁に特有のもの。乳児には重要なもので、腸内にはいって乳酸となり、他の有害な発酵を抑制するはたらきがある。乳児食品添加剤医薬品に用いられる。ラクトース。〔遠西医方名物考(1822)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「乳糖」の意味・わかりやすい解説

乳糖 (にゅうとう)
milk sugar



ラクトースlactoseともいう。哺乳類の乳汁中に存在する糖で,乳汁中の糖のほとんどを占めている。人乳には約7%,牛乳には約4.5%含まれている。植物ではレンギョウ花粉サポジラの実に含まれることがある。工業的にはチーズ製造の副産物であるホエーから調製される。ガラクトースとグルコースより成る二糖類で,甘みは弱く,ショ糖の16~28%である。αおよびβの2種類の異性体があり,α-乳糖には無水物と,結晶水1分子をもつ水和物が存在する。β-乳糖は無水物で,93℃以上で水溶液から結晶化させると得られる。融点はα-乳糖が無水物223℃,一水和物202℃,β-乳糖が252℃。水溶液中では変旋光が起こり,α-乳糖はβ-乳糖に,β-乳糖はα-乳糖にそれぞれ分子内転換し,α-乳糖37.3%,β-乳糖62.7%の割合になると平衡状態に達して変旋光が停止する。この状態の乳糖を平衡乳糖という。β-乳糖はα-乳糖に比べて溶解度が高く,甘みが強い。さらに消化吸収性も良好なので,調製粉乳への添加にはβ-乳糖あるいは平衡乳糖が用いられる。そのほか,製菓,発酵用培地,錠剤賦形剤などに用いられる。
炭水化物
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百科事典マイペディア 「乳糖」の意味・わかりやすい解説

乳糖【にゅうとう】

ラクトースとも。ガラクトース1分子とブドウ糖1分子から構成される二糖類。乳に含まれ(人乳約7%,牛乳約4.5%),植物ではレンギョウの花粉などに含まれる。α‐乳糖とβ‐乳糖の2つの異性体があり,β‐乳糖の方が溶解度が高く,甘みも強く,消化しやすい。酸やガラクトシダーゼでD-グルコースとD-ガラクトースに加水分解される。乳糖酵母によって発酵する。チーズ製造の副産物として大量に得られ,栄養剤,医療用甘味料および育児用調製粉乳の配合原料として用いられるほか,発酵培地として有用である。(図)
→関連項目乳製品乳糖不耐症

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「乳糖」の意味・わかりやすい解説

乳糖
にゅうとう

乳汁中に含まれるおもな炭水化物で、ラクトースともいう。

人体との関係

小腸粘膜の微絨毛(びじゅうもう)上に存在するラクターゼの作用で膜消化され、ガラクトースとグルコースとなり吸収される。ガラクトースは体内でグルコースから合成されるが、乳幼児では脳のガラクトースを含む構成成分の合成が円滑に行われるように、母乳から乳糖の形で供給している。

[不破英次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「乳糖」の意味・わかりやすい解説

乳糖
にゅうとう
lactose

化学式 C12H22O11 。哺乳類の乳の中に約5%含まれている二糖類で,D-グルコース (ブドウ糖) とD-ガラクトースが結合したもの。ラクトースともいう。α体とβ体の2種がある。α体は1分子の結晶水を有し,融点 202℃。β体は無水の結晶で,融点 252℃。どちらも水溶液は光学活性である。乳酸菌の作用を受けて乳酸に変る (→乳酸発酵 ) 。

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化学辞典 第2版 「乳糖」の解説

乳糖
ニュウトウ
milk sugar

[同義異語]ラクトース

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「乳糖」の解説

乳糖

 →ラクトース

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世界大百科事典(旧版)内の乳糖の言及

【栄養】より

…すなわち炭素と水とが化合した形のものであり,この意味から含水炭素とも呼ばれていた。炭水化物には多数の種類があるが,なかでもデンプン,ショ糖,乳糖が重要である。(1)デンプン 米,麦などの穀類やいも類に多量に含まれ,食品の炭水化物中大部分を占める。…

【牛乳】より


【成分】
 牛乳の成分中では,水分がもっとも多くて約88%を占めている。この中に乳糖および無機質は溶解しているが,脂肪(脂質)は乳濁液(エマルジョン)となり,タンパク質はコロイド状の懸濁液(サスペンジョン)となってそれぞれ分散している。牛乳の外観が白色不透明なのはこのためである。…

【炭水化物】より

…少糖は単糖が2~20個程度,多糖はさらにそれ以上結合したものである。単糖の例としてはブドウ糖(グルコース),ガラクトース,また少糖の例としてはグルコースが2分子結合した麦芽糖(マルトース),グルコースと果糖(フルクトース)が結合したショ糖(砂糖),グルコースとガラクトースが結合した乳糖(ラクトース)をあげることができる。多糖にはデンプングリコーゲンセルロースなどがある。…

※「乳糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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