翻訳|milk sugar
ラクトースlactoseともいう。哺乳類の乳汁中に存在する糖で,乳汁中の糖のほとんどを占めている。人乳には約7%,牛乳には約4.5%含まれている。植物ではレンギョウの花粉やサポジラの実に含まれることがある。工業的にはチーズ製造の副産物であるホエーから調製される。ガラクトースとグルコースより成る二糖類で,甘みは弱く,ショ糖の16~28%である。αおよびβの2種類の異性体があり,α-乳糖には無水物と,結晶水1分子をもつ水和物が存在する。β-乳糖は無水物で,93℃以上で水溶液から結晶化させると得られる。融点はα-乳糖が無水物223℃,一水和物202℃,β-乳糖が252℃。水溶液中では変旋光が起こり,α-乳糖はβ-乳糖に,β-乳糖はα-乳糖にそれぞれ分子内転換し,α-乳糖37.3%,β-乳糖62.7%の割合になると平衡状態に達して変旋光が停止する。この状態の乳糖を平衡乳糖という。β-乳糖はα-乳糖に比べて溶解度が高く,甘みが強い。さらに消化吸収性も良好なので,調製粉乳への添加にはβ-乳糖あるいは平衡乳糖が用いられる。そのほか,製菓,発酵用培地,錠剤賦形剤などに用いられる。
→炭水化物
執筆者:吉野 梅夫
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乳汁中に含まれるおもな炭水化物で、ラクトースともいう。
小腸粘膜の微絨毛(びじゅうもう)上に存在するラクターゼの作用で膜消化され、ガラクトースとグルコースとなり吸収される。ガラクトースは体内でグルコースから合成されるが、乳幼児では脳のガラクトースを含む構成成分の合成が円滑に行われるように、母乳から乳糖の形で供給している。
[不破英次]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
…すなわち炭素と水とが化合した形のものであり,この意味から含水炭素とも呼ばれていた。炭水化物には多数の種類があるが,なかでもデンプン,ショ糖,乳糖が重要である。(1)デンプン 米,麦などの穀類やいも類に多量に含まれ,食品の炭水化物中大部分を占める。…
…
【成分】
牛乳の成分中では,水分がもっとも多くて約88%を占めている。この中に乳糖および無機質は溶解しているが,脂肪(脂質)は乳濁液(エマルジョン)となり,タンパク質はコロイド状の懸濁液(サスペンジョン)となってそれぞれ分散している。牛乳の外観が白色不透明なのはこのためである。…
…少糖は単糖が2~20個程度,多糖はさらにそれ以上結合したものである。単糖の例としてはブドウ糖(グルコース),ガラクトース,また少糖の例としてはグルコースが2分子結合した麦芽糖(マルトース),グルコースと果糖(フルクトース)が結合したショ糖(砂糖),グルコースとガラクトースが結合した乳糖(ラクトース)をあげることができる。多糖にはデンプン,グリコーゲン,セルロースなどがある。…
※「乳糖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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