元慶官田(読み)がんぎょうかんでん

山川 日本史小辞典 改訂新版 「元慶官田」の解説

元慶官田
がんぎょうかんでん

879年(元慶3)藤原冬緒(ふゆお)の提言畿内におかれた4000町の官田山城河内・摂津3国に各800町,大和国に1200町,和泉国に400町が乗田(じょうでん)から割りあてられた。官人への位禄・季禄支給のために減少した正税や不動穀を補填することを目的とした。収穫高の5分の1を収める賃租(地子(じし))制による小作方式または直営方式がとられた。直営方式の場合には公営田と同じく営料を支給し,正長(しょうちょう)をおいて監督させた。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の元慶官田の言及

【大炊寮】より

…諸国が進上する年料舂米を,主計寮の計納を経て大炊寮が収納し,8世紀にはこれを親王,議政官,官人,雑色人に月料(げつりよう)として支給したが(匠・丁には民部省が庸米を大粮(たいろう)として支給),9世紀初頭にそれまで激務の職事・番上官の付加給であった要劇(ようげき)料(銭)・番上(ばんじよう)粮が月料と並んで本給となり,3者の支給対象が分化し,それぞれを大炊寮が年料舂米で支給することになったらしい。しかし,有品親王,公卿などの月料は漸次停止され,881年(元慶5)の元慶官田の設置により,太政官,出納諸司(中務省,監物,民部省,宮内省,大炊寮),給月料之司(大学寮等)以外の官司は要劇料・番上粮として官田を支給され,大炊寮の職務は縮減された。《延喜式》に22ヵ国が1万7330石余の年料舂米を進上すると定めるが,894年(寛平6)ころにはすでに年料1万8000石のうち1/3~1/2しか見納されていなかった。…

※「元慶官田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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