全相平話(読み)ぜんそうへいわ(その他表記)Quan-xiang ping-hua

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「全相平話」の意味・わかりやすい解説

全相平話
ぜんそうへいわ
Quan-xiang ping-hua

中国,元の歴史講談小説の総称名。作者不明。「全相」は全ページ絵入りの意,「平話」は歴史講談のテキスト。宋代に都市の盛り場で流行した講談のテキストに手を加えて出版したもので,現存するのは大正末期に日本の内閣文庫 (→国立公文書館 ) で発見された『武王伐紂書』 (3巻) ,『楽毅図斉七国春秋後集』 (3巻) ,『秦併六国』 (3巻) ,『前漢書続集』 (3巻) ,『三国志』 (3巻) の5種。いずれもほぼ同期福建から出版されたと考えられる。稚拙ともいえる素朴な文章が綴られるが,『武王伐紂書』が許仲琳作と伝えられる『封神演義』の,『三国志』が羅貫中の『三国志演義』の母体をなしているように,明代歴史小説発展の素地をなしたといえる。

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百科事典マイペディア 「全相平話」の意味・わかりやすい解説

全相平話【ぜんそうへいわ】

中国,元代初めの史書の講釈5種をまとめたもの。《武王伐紂書》《楽毅図斉七国春秋後集》《秦併六国平話》《前漢書続集》《平話三国志》で,いずれも3巻。著者不詳。元の至治年間(1321年―1323年)に新安の虞氏刊行講釈師説話人)のテキスト(話本)であるが,毎葉絵入り(全相)になっていて,読本としても流行した。原書は失われ,日本の内閣文庫に所蔵

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