中国,元末・明初の戯曲小説の作家。その伝記はほとんど不明で,太原(現,山西省太原市)の人であり,湖海散人と号したことが知られるにすぎない。1330-1400年のあいだ生存していたと推定される。また彼が活動していたのは主として江浙(現,江蘇・浙江2省)地域であったらしいことが彼の《三国演義》の記述のはしばしから,うかがわれる。戯曲の作品は《趙太祖竜虎風雲会》一種が存するだけだが,それは宋の初めの歴史を扱ったものであった。それと同様に小説でも歴史物語を得意としたようで,傑作《三国演義》をはじめ,《三遂平妖伝》《隋唐志伝》など彼の名を署するものはみな歴史小説であった。《水滸(すいこ)伝》もまた彼が手を加えて完成したであろうと思われる。この2書(《三国演義》と《水滸伝》)から見ても,彼は明代に俗語小説が隆昌に向かう気運のさきがけをなしたと言えるであろう。
執筆者:小川 環樹
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中国、元末明(みん)初にかけての大小説家、戯曲家。名を本(ほん)といい、貫中はその字(あざな)である。湖海散人と号した。太原(山西省)の人。性格は狷介(けんかい)とされる。元末張士誠(ちょうしせい)の幕客となって抗元運動に参加し、銭塘(せんとう)において施耐庵(したいあん)とともに『水滸伝(すいこでん)』をつくったともされる。数十種の長編小説を書いたといわれ、代表作は『三国志平話(へいわ)』に基づいた『三国志演義』だが、『隋(ずい)唐両朝史伝』『残唐五代史演義』『三遂平妖伝(さんすいへいようでん)』などがいまに残されている。戯曲としては3編の雑劇を著したことが知られるが、『宋(そう)太祖竜虎風雲会』のみが現存している。
[大塚秀高]
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…中国の長編口語小説。施耐庵(1296‐1370)と羅貫中(1364生存)によってまとめられたという。《忠義水滸伝》とも標題する。…
…北宋の1047年(慶暦7)に貝州(河北省)で起きた王則(?‐1048)の宗教的反乱を題材とするが,内容はファンタスティックで荒唐無稽なものである。もと講談であったものを,元末の羅貫中がまとめたとされる20回本と,それを明末の馮夢竜(ふうぼうりゆう)が増訂した40回本の2種類のテキストがあり,清代以降は,もっぱら後者が行われた。日本では,寛政年間(1789‐1801)に部分訳である《通俗平妖伝》が出たほか,滝沢馬琴は本書を愛読したことで知られる。…
※「羅貫中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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