羅貫中(読み)ラカンチュウ(その他表記)Luó Guàn zhōng

デジタル大辞泉 「羅貫中」の意味・読み・例文・類語

ら‐かんちゅう〔‐クワンチユウ〕【羅貫中】

中国、元末・明初の小説家太原山西省)の人。名はほん、号は湖海散人。著「三国志演義」「隋唐演義」「平妖へいよう伝」など。「水滸すいこ」の編者または作者一人ともいう。生没年未詳。

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精選版 日本国語大辞典 「羅貫中」の意味・読み・例文・類語

ら‐かんちゅう‥クヮンチュウ【羅貫中】

  1. 中国元末・明初の文人。名は本、貫中は字。号湖海散人。山西太原の人。「三国志演義」「隋唐演義」「平妖伝」などの通俗小説戯曲などを多く書き、また、「水滸伝」の作者にも擬せられている。生没年未詳。

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改訂新版 世界大百科事典 「羅貫中」の意味・わかりやすい解説

羅貫中 (らかんちゅう)
Luó Guàn zhōng

中国,元末・明初の戯曲小説の作家。その伝記はほとんど不明で,太原(現,山西省太原市)の人であり,湖海散人と号したことが知られるにすぎない。1330-1400年のあいだ生存していたと推定される。また彼が活動していたのは主として江浙(現,江蘇・浙江2省)地域であったらしいことが彼の《三国演義》の記述のはしばしから,うかがわれる。戯曲の作品は《趙太祖竜虎風雲会》一種が存するだけだが,それは宋の初めの歴史を扱ったものであった。それと同様に小説でも歴史物語を得意としたようで,傑作《三国演義》をはじめ,《三遂平妖伝》《隋唐志伝》など彼の名を署するものはみな歴史小説であった。《水滸(すいこ)伝》もまた彼が手を加えて完成したであろうと思われる。この2書(《三国演義》と《水滸伝》)から見ても,彼は明代に俗語小説が隆昌に向かう気運のさきがけをなしたと言えるであろう。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「羅貫中」の意味・わかりやすい解説

羅貫中
らかんちゅう
(1330?―1400?)

中国、元末明(みん)初にかけての大小説家、戯曲家。名を本(ほん)といい、貫中はその字(あざな)である。湖海散人と号した。太原(山西省)の人。性格は狷介(けんかい)とされる。元末張士誠(ちょうしせい)の幕客となって抗元運動に参加し、銭塘(せんとう)において施耐庵(したいあん)とともに『水滸伝(すいこでん)』をつくったともされる。数十種の長編小説を書いたといわれ、代表作は『三国志平話(へいわ)』に基づいた『三国志演義』だが、『隋(ずい)唐両朝史伝』『残唐五代史演義』『三遂平妖伝(さんすいへいようでん)』などがいまに残されている。戯曲としては3編の雑劇を著したことが知られるが、『宋(そう)太祖竜虎風雲会』のみが現存している。

[大塚秀高]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「羅貫中」の意味・わかりやすい解説

羅貫中
らかんちゅう
Luo Guan-zhong

中国,元末明初の小説家,劇作家。太原 (山西省) の人。本名,羅本。号,湖海散人。貫中は字。至正 24 (1364) 年に在世した記録があるほかは経歴が不明だが,最下級の小役人であったと考えられている。宋,元代に流行した話本 (わほん) をもとに口語長編小説をつくった先駆者で,『三国志演義』,施耐庵との共著『水滸伝』の二大傑作をはじめ,『隋唐演義』『残唐五代史演義』『平妖伝』などの作がある。戯曲は3作が記録されるが『趙太祖竜虎風雲会』だけが現存する。

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旺文社世界史事典 三訂版 「羅貫中」の解説

羅 貫中
らかんちゅう

水滸伝 (すいこでん)

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世界大百科事典(旧版)内の羅貫中の言及

【水滸伝】より

…中国の長編口語小説。施耐庵(1296‐1370)と羅貫中(1364生存)によってまとめられたという。《忠義水滸伝》とも標題する。…

【平妖伝】より

…北宋の1047年(慶暦7)に貝州(河北省)で起きた王則(?‐1048)の宗教的反乱を題材とするが,内容はファンタスティックで荒唐無稽なものである。もと講談であったものを,元末の羅貫中がまとめたとされる20回本と,それを明末の馮夢竜(ふうぼうりゆう)が増訂した40回本の2種類のテキストがあり,清代以降は,もっぱら後者が行われた。日本では,寛政年間(1789‐1801)に部分訳である《通俗平妖伝》が出たほか,滝沢馬琴は本書を愛読したことで知られる。…

※「羅貫中」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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