改訂新版 世界大百科事典 「公害防止協定」の意味・わかりやすい解説
公害防止協定 (こうがいぼうしきょうてい)
公害を防止するため,地方公共団体,または住民と企業との間で結ばれた協定をいう。その内容は,公害を防止するための企業の義務を定めたものであって,公害法規(法律,条例)を補充する重要な役割を果たしているが,当事者の合意を基礎に置いている点で公害法規とは異なる。地方公共団体と企業との間の公害防止協定でもっとも古いものは,1952年島根県と山陽パルプ(株)および大和紡績(株)で結ばれたものといわれているが,その後,横浜市と電源開発(株)(1964)や横浜市と東京電力(株)(1965)で結ばれた協定(〈横浜方式〉などと呼ばれている)以来,全国で結ばれるようになった。公害防止協定の性質については,初め〈紳士協定〉説などが唱えられたこともあったが,現在の協定は,企業の義務,例えば使用燃料の種類や質,ばい煙の排出量,煙突の高さなどを具体的に定めており,一つの契約(公法上の契約)とみてさしつかえないとされている。
執筆者:淡路 剛久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報