出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
兵庫県淡路島北東部にある市。2005年4月旧淡路,一宮(いちのみや),津名(つな),東浦(ひがしうら),北淡(ほくだん)の5町が合体して成立した。人口4万6459(2010)。
淡路市北端の旧町。旧津名郡所属。人口6834(2000)。明石海峡に臨み,町域の大半は標高200m前後の丘陵からなり,花コウ岩の岩盤がいたるところに露出している。本州と淡路島を結ぶ交通上の要衝で,戦国時代には海峡制覇の軍事的拠点であった。中心の岩屋は港町で,漁業や水産加工業の拠点である。明石市まで高速艇で13分のため,明石市,神戸市方面への通勤者が多い。北部の松帆ノ浦などは《万葉集》にも詠まれた景勝地である。神戸淡路鳴門自動車道が通り,明石海峡大橋や県立淡路島公園の建設により,観光・リゾート地として変貌してきている。
淡路市南西端の旧町。旧津名郡所属。1955年江井・郡家(ぐんげ)両町と多賀・尾崎両村が合体,一宮町となり,56年山田村を編入。人口9233(2000)。播磨灘に面し,津名丘陵の西斜面を占める。北部の丘陵は地塁山地で急斜面の断層海岸をなす。多賀には淡路国一宮の伊弉諾(いざなぎ)神宮があり,町名はこれに由来する。郡家川河口の郡家は古代の郡家(ぐうけ)の所在地で,交通の要地である。溜池が多く,水田が棚状に作られ,稲作が行われるが,野菜,花卉の栽培や和牛の飼育にも力が入れられている。南部の山田などではミカン栽培が盛ん。江井では漁業とともに線香の生産が行われ全国一の生産を誇る。
淡路市南端の旧町。旧津名郡所属。人口1万6801(2000)。大阪湾に面し,津名丘陵東斜面を占める。背後の丘陵によって西風がさえぎられて温暖な気候であり,カーネーションなどの花卉やオレンジの栽培が盛んで,京阪神方面に出荷される。中心は明治時代に郡役所が置かれた志筑(しづき)で,志筑川河口に市街地が広がり,津名港がある。西宮市甲子園浜や泉佐野などとの間に直通フェリーがあったが,現在は廃止。
淡路市東端の旧町。旧津名郡所属。人口8798(2000)。東は大阪湾に面する断層海岸で,西側には津名丘陵が広がり,南北に長い町域をなす。温暖な気候に恵まれ,ミカン栽培や花卉栽培が盛ん。特にカーネーション,菊,キンセンカが多く,海岸沿いの平野で温室栽培され,大磯港からフェリーで京阪神市場に出荷される。漁業は仮屋などで行われるが,ノリ,ワカメの養殖が増えている。工業では色瓦の製造が盛ん。
淡路市北西部の旧町。旧津名郡所属。人口1万0218(2000)。おもに花コウ岩からなる津名丘陵の西斜面を占め,明石海峡と播磨灘に面する。北部は特に傾斜が急で棚田が多い。中心集落の富島(としま)は淡路島西岸随一の漁港を有し,明石とは定期船で結ばれる。米作,畜産のほか,傾斜地を利用したビワ栽培が盛んで,観光ビワ園もある。漁業はタコなどの沿岸漁業中心から,ノリの養殖などへの転換が進んでいる。南部の伊勢ノ森(516m)は眺望がよく,瀬戸内海国立公園に属する。阪神・淡路大震災では大きな被害が出たが,野島断層の活動の跡が保存されている。
執筆者:松原 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
兵庫県淡路島北端、津名郡(つなぐん)にあった旧町名(淡路町(ちょう))。現在は淡路市の北東端を占める一地区。1956年(昭和31)岩屋町、釜口(かまぐち)村、仮屋(かりや)町、浦村が合併して成立。淡路島の玄関口であるため淡路町とした。1961年には仮屋、釜口、浦の3地区が分立して東浦(ひがしうら)町となった。2005年(平成17)一宮(いちのみや)、津名、東浦、北淡(ほくだん)の4町と合併して市制施行、淡路市となる。国道28号が通じ神戸淡路鳴門自動車道(こうべあわじなるとじどうしゃどう)の淡路インターチェンジがある。中心集落の岩屋は平安時代からの海港で、明石(あかし)海峡で相対する明石市とは高速船の連絡があり、神戸市舞子とは明石海峡大橋が通じる。タイ、タコの漁獲で知られ、ノリの養殖が盛んである。海岸には絵島、松帆(まつほ)の浦など景勝地が多い。大阪湾や播磨灘(はりまなだ)が見渡せる展望台を備えた県立淡路島公園がある。また2000年に行われた淡路花博の跡地に国営明石海峡公園(淡路地区)がつくられている。
[吉田茂樹]
『『淡路町風土記』(1971・淡路町)』
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