其処許(読み)ソコモト

デジタル大辞泉 「其処許」の意味・読み・例文・類語

そこ‐もと【×許】

[代]
中称の指示代名詞。そこ。そこの所。そこらへん。
「―は落ちたる所侍り」〈・一二〇〉
二人称人代名詞同輩またはそれ以下の者をさす。そなた。そのもと。主に武士が用いた。
「―へ推参してお目にかける物がある」〈浄・忠臣蔵

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精選版 日本国語大辞典 「其処許」の意味・読み・例文・類語

そこ‐もと【其処許・其許・其元】

  1. 〘 代名詞詞 〙
  2. 他称。相手側の方角、場所をさし示す(中称)。はっきりさし示す場合と、ばくぜんとさし示す場合とがある。そのところ。そこ。そのへん。そこらへん。
    1. [初出の実例]「中島の松をまばりたる女あり。そこもとに、紙のはしに書きて、かくおしつく」(出典:蜻蛉日記(974頃)下)
    2. 「居給へるけはひ異(こと)人には似ぬ心地すれば、そこもとに寄りて、たてまつりつ」(出典源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋)
  3. 対称。多くは、武士がやや目上と思われる相手、同輩、もしくはそれ以下のものに対して用いた。まれに町人の使用例も見受けられるが、格式ばった言い方で、老人家主などが用いた。時代がくだると待遇度も落ちた。そのもと。そこほど。
    1. [初出の実例]「のおのおそこもとへ年のよわい廿斗の女の物おもひ顔にては行ぬ」(出典:雲形本狂言・法師が母(室町末‐近世初))

其処許の語誌

→「そのもと(其許)」の語誌

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