兼愛(読み)ケンアイ

精選版 日本国語大辞典 「兼愛」の意味・読み・例文・類語

けん‐あい【兼愛】

  1. 〘 名詞 〙 どんな者をも区別なく、自分を愛するように平等に愛すること。また、そのような愛。→兼愛説
    1. [初出の実例]「子之言者墨子之兼愛也」(出典:惺窩文集(1627頃)二・四景我有解)
    2. [その他の文献]〔荘子‐天道〕

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普及版 字通 「兼愛」の読み・字形・画数・意味

【兼愛】けんあい

人を平等に愛する。〔墨子、兼愛上〕(も)し天下をしてねて相ひ愛せしめ、人を愛すること、其の身を愛する(ごと)くならしめば、ほ不孝なるらんや。~(な)ほ不なるらんや。

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世界大百科事典(旧版)内の兼愛の言及

【愛】より

…家父長的な義務感を出発点とし,〈天〉の〈命〉によるという使命感に支えられ,弱者への〈惻隠の心〉とともに,一人前の人間としての責任をまっとうしうる〈能力〉をもつことが,重視された。〈仁〉の,近きより遠きにおよぼす,現実主義的な性格にあきたらず,墨子は,〈兼愛(無私平等の愛)〉(兼愛説)を提唱したが,理想論にすぎぬとして,広く受けいれられなかった。 以上のごとく,愛の理念は,一つ一つが微妙に力点を異にしており,〈欲求説〉によって総括しようとすれば,本質を見失うものが多い。…

【仁】より

…儒家は愛に差等を設けることを是認するから,子の親に対する愛である〈〉の実践が仁を実現する第1段階であるとされ,身近なものへの愛から出発して,その愛の及ぶ範囲を順次拡大してゆけば,終極的には人類愛に到達すると考える。〈兼愛〉(無差別の愛)を主張する墨子からはこの〈仁愛〉は〈別愛〉(差別愛)だと批判される。家族愛や愛国心は必ずしも人類愛と相いれるものではないことからの批判である。…

※「兼愛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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