内向の世代(読み)ないこうのせだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

内向の世代
ないこうのせだい

1970 (昭和 45) 年前後に登場してきた一群の文学者たちを小田切秀雄が「自我と個人的な状況のなかにだけ自己の作品の手ごたえを求めようとしており,脱イデオロギーの内向的な文学世代」と評したことによる。古井由吉阿部昭黒井千次小川国夫坂上弘後藤明生らの小説家,川村二郎秋山駿らの批評家を指す。「戦後派」の小田切は「内向の世代」の語に,その閉鎖性への批判を込めていた。しかし,社会全体が非イデオロギー化していくに従い,内面に沈潜することで外部の現実を浮き立たせ,浮遊する生の不確かさを描くその表現方法は,むしろ時代を誠実に映すものであるといえるだろう。今では,「内向の世代」はこの文学者たちの傾向を言い当てている語として,価値判断抜きに用いられている。

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知恵蔵の解説

内向の世代

戦後文学」のページをご覧ください。

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世界大百科事典内の内向の世代の言及

【戦後文学】より

… 他方,以上に述べた文学運動や文芸思潮にかかわりのない作家も活躍し,井伏鱒二,尾崎一雄,永井竜男,井上靖,円地文子らが充実した成果を示した。70年代には日本の社会の変容にともない新しい現実が生まれ,その日常性の細部を古井由吉ら〈内向の世代〉と呼ばれる一群の作家がえがいた。戦後の解放の結果,女性の権利が確立し,女流作家の台頭の著しくなったのも1960‐70年代の特色である。…

※「内向の世代」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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