内灘事件(読み)ウチナダジケン

デジタル大辞泉 「内灘事件」の意味・読み・例文・類語

うちなだ‐じけん【内灘事件】

昭和28年(1953)、石川県河北郡内灘における米軍基地反対闘争砂丘地を在日米軍試射場として無期限使用することを閣議決定し、試射が強行されたため、反対派住民や支援団体が座り込み、警官隊と衝突した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「内灘事件」の意味・わかりやすい解説

内灘事件
うちなだじけん

基地闘争全国化への口火となった石川県内灘における米軍基地反対闘争。1952年(昭和27)9月、日米合同委員会は、朝鮮戦争下に特需生産された米軍砲弾の試射場として内灘村砂丘地の接収を決定した。これに対し村議会はただちに反対を決議。婦人を中心とする村民がムシロ旗を押し立てて県庁に押しかけ、連日金沢市内で街頭署名に立つなかで、県議会も全会一致で反対を決議した。同年12月吉田内閣は翌53年1月から4か月の期限付き接収と決定したが、期限切れが近づくにしたがって継続使用の動きをみせた。そのため運動は再度高揚し、石川県評を中心とする革新陣営により内灘接収反対実行委員会が結成され、5月1日試射中止となった。その後6月2日、閣議の無期限使用決定により、「金は1年、土地は万年」をスローガンに掲げた村民の座り込み、デモ隊と警官隊との衝突、北陸鉄道労組の米軍物資輸送拒否決定と48時間ストなど運動は最高潮に達し、全国的関心を集めた。しかし、同月15日試射は再開され、接収賛成派が台頭、村内に亀裂(きれつ)が生ずるなかで、9月村当局は政府と妥結、ついで11月村長選挙での基地反対派の敗退により闘争は終結した。57年接収解除となった。

[荒川章二]

『神田正雄・久保田保太郎著『日本の縮図 内灘――軍事基地反対闘争の実態』(1953・社会書房)』『進藤牧郎・鈴木寛・宮本憲一「内灘村――その政治・経済構造」(『思想』1954年2月号所収・岩波書店)』『清水幾太郎「内灘」(『世界』1953年9月号所収・岩波書店)』『「『内灘』は訴える」(『世界』1953年11月号所収・岩波書店)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「内灘事件」の解説

内灘事件
うちなだじけん

石川県河北郡内灘村(現,内灘町)の米軍砲弾試射場をめぐる反対闘争。朝鮮戦争に際して日本は米軍用砲弾を製造していたが,米軍は1952年(昭和27)9月の日米合同委員会で砲弾試射場の提供を要求。政府(第4次吉田内閣)は内灘村砂丘地を選定,地元と交渉を開始したが,県議会などの反対運動により難航した。12月に4カ月の期限付でようやく接収,翌年3月試射が開始された。政府は6月2日試射場の継続使用を決定したため,着弾地点への座りこみ,北陸鉄道労組の米軍物資輸送拒否など反対運動が燃えあがり,デモ隊と警官隊の衝突へと発展したが,15日試射再開が強行された。その後条件派の台頭などにより,9月村長は試射場使用を承認した。11月の村長選挙で反対派候補が敗れ,反対運動は終息に向かったが,その後の基地反対闘争に大きな影響を与えた。

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百科事典マイペディア 「内灘事件」の意味・わかりやすい解説

内灘事件【うちなだじけん】

1952〜53年にかけて起きた,石川県にある内灘砂丘の米軍試射場としての使用に反対する運動。内灘村議会(当時)の反対決議に端を発し,その後住民や各地の労働組合なども巻き込んだ全県的な闘争に発展,1950年代に日本各地へ広がりを見せた基地反対闘争のきっかけとされている。→基地問題
→関連項目清水幾太郎

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旺文社日本史事典 三訂版 「内灘事件」の解説

内灘事件
うちなだじけん

1952〜53年に行われた石川県河北郡内灘のアメリカ軍試射場に対する反対闘争
第4次吉田茂内閣はアメリカ軍試射場として内灘の砂丘を接収することを決めたが,石川県議会をはじめ,北陸鉄道労組・学生・知識人などを中心に試射中止と土地返還を求める闘争が展開され,全国の関心を集めた。その後の基地反対闘争のきっかけとなる。

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