内耳土器(読み)うちみみどき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「内耳土器」の意味・わかりやすい解説

内耳土器(うちみみどき)
うちみみどき

「ないじどき」ともよぶ。鎌倉時代ころまで東日本で、庶民が煮沸調理用具として一般に使用した土鍋(どなべ)。北海道樺太(からふと)(サハリン)、千島方面では近世まで使用され、江戸時代の蝦夷地(えぞち)旅行家に注目されていた。口縁部内面の左右対称な位置に半環状の把手(とって)(耳)がつけられ、天井から紐(ひも)でつるしたとき火炎が紐に届かぬようくふうされた土器内耳土鍋ともいう。口径20センチメートル、高さ10センチメートル前後から、口径30センチメートル以上の大形のものもある。口縁部はやや反りぎみで、胴部から底辺円筒形底面は粗雑な円形平底である。

[江坂輝彌]



内耳土器(ないじどき)
ないじどき

内耳土器

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「内耳土器」の意味・わかりやすい解説

内耳土器
ないじどき

内耳土鍋ともいい,土器の口縁部内側に,釣り手用の環状取手をもつ鍋形土器。中世に始り,地方によっては近世まで煮炊きに用いられた鍋である。北海道,サハリン,カムチャツカなどの地域では擦文土器オホーツク式土器に伴って発見されるものもあるが,おもに利用されたのはそれ以後の時代である。

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