家庭医学館 「再発性多発軟骨炎」の解説
さいはつせいたはつなんこつえん【再発性多発軟骨炎 Relapsing Polychondritis】
軟骨(なんこつ)が炎症をおこし、腫(は)れや痛みを生じる病気で、自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)(免疫のしくみとはたらきの「自己免疫疾患とは」)と考えられています。
いろいろな部位の軟骨がおかされますが、もっとも多くみられるのは耳介(じかい)です。突然の激しい痛みと腫れが生じ、くり返すと耳が変形します。
そのほか、内耳(ないじ)の軟骨や気管支の軟骨に炎症がおこることもあります。気管支の軟骨におこると、呼吸困難になったり声がしゃがれたりします。
心臓や血管の軟骨に炎症がおこると、弁膜症(べんまくしょう)(「心臓弁膜症とは」)や、血管が腫れる動脈瘤(どうみゃくりゅう)がみられることもあります。
関節炎(かんせつえん)、結膜炎(けつまくえん)などの目の炎症などもおこります。また、2割ほどの患者さんには、ほかの膠原病(こうげんびょう)(免疫のしくみとはたらきの「膠原病について」)を合併することがあります。
[原因]
免疫の異常によって、軟骨をつくっているたんぱく質(コラーゲン)を攻撃する抗体(こうたい)がつくられ、そのために軟骨が炎症をおこすと考えられています。
[検査と診断]
血液を検査すると、血液沈降速度(けつえきちんこうそくど)(血沈(けっちん))の増加など、一般の炎症でみられる反応とともに、一部の患者さんでは、リウマトイド (リウマチ)因子や抗核抗体(こうかくこうたい)(自分の細胞の核を標的とする抗体)がみられます。
特徴的な軟骨の炎症症状がみられれば、診断がつきます。
[治療]
軽症の場合は、副作用のことを考え、非ステロイド抗炎症薬を使用します。
しかし、症状が強い場合は、ステロイド(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン)薬で治療しなければなりません。