再軍備問題(読み)さいぐんびもんだい(その他表記)rearmament problem

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「再軍備問題」の意味・わかりやすい解説

再軍備問題
さいぐんびもんだい
rearmament problem

一般に,敗戦国が国際条約によって,あるいは自国憲法の規定によって廃止または制限された軍備を,再び保有または増強すること。第1次世界大戦後ドイツはベルサイユ条約により軍備を制限されていたが,ナチス政権はなしくずしに軍備強化に乗出し,1935年の国防軍編成法によって事実上制限条項を破棄した。第2次世界大戦後,連合国はドイツ,日本の徹底した非軍事化政策を推進した。ドイツについては,降伏文書をはじめドイツ処理の基本文書をすべてドイツの非軍事化を根本原則とし,特にアメリカが 46年4月 29日に発表した「ドイツの武装解除および非軍事化条約案」は,最短 25ヵ年にわたり完全に非軍事化することを目的としていた。しかし,東西両陣営の対立激化により東西ドイツ分裂も固定化し,ヨーロッパ防衛共同体設立条約の署名 (1952) ,西ドイツ基本法の改正 (54) ,西ドイツの NATO加盟 (55) により,再軍備は着々と進められ,他方東ドイツも,ワルシャワ条約体制のもとで再軍備を進めた。日本はポツダム宣言降伏文書に基づき,占領管理下で完全に武装解除され,新憲法で一切の戦力を保有しないことになったが,朝鮮戦争勃発直後の 50年7月8日の連合国最高司令官 D.マッカーサー書簡 (→マッカーサー書簡 ) により警察予備隊を発足させたのを皮切りに,日米安全保障条約 (52) ,MSA協定 (54) ,防衛庁設置法 (54) および自衛隊法 (54) ,さらに相次ぐ防衛力整備計画によって防衛力整備を進めた。

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