再閉路方式(読み)さいへいろほうしき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「再閉路方式」の意味・わかりやすい解説

再閉路方式
さいへいろほうしき

送電線配電線を含む)に落雷などによる事故が発生すると、保護リレーの動作によって事故区間が遮断器開放により切り離されるが、ある一定の時間をおいて自動的に遮断器を再投入し切り離された送電線を再閉路する方式のことをいう。この方式には事故相のみを遮断する単相・多相再閉路方式、事故回線の三相を一括で遮断する三相再閉路方式がある。また、事故区間を切り離したのち再閉路するまでの時間により、1秒程度以内に再閉路するものを高速再閉路方式、同様に1~15秒程度のものを中速再閉路方式、1分程度のものを低速再閉路方式といっている。高速再閉路方式は、停電を防止することを目的とするもので系統上の重要度の大きい超高圧の基幹送電線に採用されている。2回線以上の送電線において、事故発生後ただちに事故回線または事故相のみを遮断し、一定の時間(無電圧時間という)をおいて、遮断した回線または相を1秒以内に再閉路するものである。事故の多くは落雷などによる空気絶縁破壊であり、絶縁破壊による大電流(事故電流)のため高温となった空気は電離、イオン化しアークが形成され、事故電流が継続する。事故区間を遮断し系統から切り離すと、事故区間は無電圧状態となり、このアークは拡散し空気の絶縁が回復する。この絶縁の回復後すみやかに遮断器を再投入することにより無停電で送電を続けることができる。ただし、事故によっては絶縁が回復せず、再投入によってふたたび事故となる場合(再閉路失敗)もまれにある。中速再閉路方式と低速再閉路方式は停電時間の短縮あるいは省力化を目的としており、遮断器を自動的に投入して事故送電線を復旧させることをいう。

[内田直之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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