日本大百科全書(ニッポニカ) 「冷戦史」の意味・わかりやすい解説 冷戦史(年表)れいせんしねんぴょう 1917 ロシア三月革命、ロシア十月革命1918 ドイツ、キールで水兵の反乱が起こり他の湾にも波及、ドイツ革命の始まり。エストニア独立。チェコ独立宣言。ラトビア独立。―ソビエトロシア圏の形成1922 イタリア、ファシストのローマ進軍。ロシア、ウクライナ、白ロシア、ザカフカスが連合してソビエト社会主義共和国連邦が結成1924 中国、第一次国共合作1925 ギリシア、パンガロス将軍がクーデターで共和制憲法を廃止。ギリシア革命1926 中国、国民党がロシアの援助を受けて北伐し3都を陥落1927 中国、蒋介石による上海クーデター1929 世界恐慌(大恐慌)始まる1931 中国、満州事変1933 ヒトラー内閣成立(ナチス1党独裁体制成立)1935 エチオピア戦争(イタリアのエチオピア併合)1936 スペイン内戦(人民戦線政府と反乱軍フランコ軍との戦い)1937 中国、第二次国共合作1938 ミュンヘン会談、ドイツ軍がチェコスロバキアのズデーテン併合1939 第二次世界大戦。独ソ不可侵条約1941 独ソ戦争開始1943 テヘラン会談(米、英、ソ3巨頭会談)、戦後のドイツ問題、ポーランド国境問題などを協議1944 イギリスのチャーチルと外相 アントニー・イーデンがモスクワでスターリンと領土取引を決める1945 米、広島に原子爆弾投下。英・米・ソがソ連のクリミア半島で戦後ドイツ分割について協議(ヤルタ会談)。李承晩、米国から帰国、南朝鮮の指導者となる。ソ連、北朝鮮の行政権を北朝鮮政府に戻す1946 チャーチルが「鉄のカーテン」演説、冷戦の始まり。中国、国共両党の停戦協定成立1947 トルーマン・ドクトリン(共産主義対抗経済援助)発表。マーシャル米国務長官が欧州復興計画(マーシャル・プラン)を発表。欧州共産党情報局(コミンフォルム)の設置を発表1948 ソ連、ベルリン封鎖。コミンフォルム、ユーゴスラビア共産党を除名1949 ソ連と東欧4か国が経済相互援助会議(コメコン)結成。西側12か国が北大西洋条約締結、NATO(北大西洋条約機構)設立。中華人民共和国建設を宣言1950 朝鮮戦争勃発。米でマッカーシー旋風。仏、米にインドシナ戦争への軍事援助を要請1951 対日講和条約。日米安全保障条約。米・豪・ニュージーランド、太平洋安全保障条約(アンザス条約)調印1952 米、初の水爆実験。米・西欧10か国、戦略物質の対共産圏輸出禁止協定調印(ココム)。欧州防衛共同体条約調印(ヨーロッパ防衛共同体設置案)1953 スターリン死去。ソ連、水爆保有公表。米、ローゼンバーグ夫妻を原子力スパイ容疑で死刑執行(ローゼンバーグ事件)。朝鮮休戦協定調印。米韓相互防衛条約調印1954 インドシナ休戦のジュネーブ協定。周恩来・ネルー、平和五原則の共同声明発表。米台相互防衛条約調印1955 ソ連と東欧7か国がワルシャワ条約機構結成。西独、NATO軍に加盟。ジュネーブで米・英・仏・ソ4国巨頭会議。トルコ・イラン・イラク・パキスタンによる中東条約機構(バグダード条約機構)発足1956 ハンガリー事件起こる。ソ連共産党20回大会でフルシチョフがスターリン批判演説。コミンフォルム解散1957 ソ連、世界初の人工衛星スプートニク1号打ち上げ。ソ連、大陸間弾道弾(ICBM)の実験に成功。モスクワ宣言1958 米、初の人工衛星打ち上げ。米海兵隊レバノンに上陸。英、ヨルダンに派兵。国連総会で米・英軍撤退を決議1959 キューバ革命、カストロが政権を奪取。ソ連首相フルシチョフ訪中に共同声明せず、中ソ対立表面化1960 ソ連、領空侵入の米U2型機を撃墜(U2型機事件)。81か国共産党・労働者党会議、モスクワ声明を採択1961 東ドイツ、「ベルリンの壁」構築。米、キューバと国交断絶、キューバ侵攻事件1962 ケネディ、キューバ近海の海上封鎖を声明、キューバ危機。ソ連、キューバのミサイルを撤去1963 米・英・ソが部分的核実験禁止条約に調印。米・ソ、ホットライン協定調印1964 中国、初の原爆実験1965 アメリカ、北ベトナム爆撃開始(ベトナム戦争)1966 中国で文化大革命始まる1967 ヨーロッパ共同体(EC)発足。米・英・ソ、宇宙平和利用条約調印1968 ソ連など5か国軍がチェコスロバキア侵攻(チェコ事件)1969 中ソ国境紛争勃発。ヘルシンキで戦略兵器制限条約(SALT)交渉を開始、ワシントンとモスクワで核不拡散条約を批准1970 ニクソン・ドクトリン(平和三原則)発表。ソ連・チェコスロバキア条約、制限主権論を明記。ポーランド、グダニスクで食糧値上げ抗議暴動(ポーランド暴動)1971 ニクソン、ドル防衛政策発表1972 ニクソン訪中。戦略兵器制限条約(SALT)調印。東西両独、関係正常化の基本条約(東西両ドイツ基本条約)調印1973 ベトナム和平協定調印。ソ連ブレジネフ訪米、米ソ核戦争防止協定調印1974 国連資源特別総会、新国際経済秩序樹立宣言1975 ヨーロッパ安全保障協力会議、ヘルシンキ宣言発表1976 米・ソ、地下核実験制限条約に調印1977 中国、文化大革命終結を宣言1978 エジプトとイスラエル、米の仲介で平和条約中東和平締結に合意。ソ連、アフガニスタン進軍1979 米ソ首脳会議でSALT調印(戦略兵器制限交渉)1980 ポーランドで自主管理労組「連帯」結成、スト権承認1981 米ソ中距離核戦力(INF)削減交渉はじまる。ポーランドで戒厳令施行1982 米ソ戦略兵器削減交渉(START)はじまる。NATO外相会議、ポーランド問題で対ソ制裁宣言。第二回国連軍縮特別総会1983 米レーガン大統領、戦略防衛構想(SDI)発表。米の中距離核ミサイル配備に西独が反対表明1984 レーガン大統領訪中し、中国の四つの現代化を支持、中国は米の軍事力強化を支持1985 レーガン、ゴルバチョフ書記長の米ソ包括的軍縮交渉はじまる1986 ゴルバチョフ、ペレストロイカを提唱。リビア、シドラ湾シルテ湾で演習参加のアメリカ軍とリビア軍がミサイルで交戦、ソ連が世界の安全保障の危惧を表明、以後、テロ攻撃が続く1987 ゴルバチョフ訪米、中距離核戦力(INF)全廃条約に調印1988 ソ連、制限主権論の無効を宣言。アフガニスタンで和平協定成立1989 東ドイツが国境を解放、「ベルリンの壁」崩壊。中国、天安門事件。ソ連、初の複数候補制による人民代議員選挙で改革派が躍進し、ゴルバチョフ、最高会議議長に選出される。ブッシュ、ゴルバチョフによるマルタ会談で冷戦の終結を宣言1990 ドイツ統一、東ドイツ消滅。イラクがクウェートに侵攻。ラトビア共和国、ソ連からの独立決議、リトアニア、エストニアも独立決議1991 リトアニアにソ連軍出動、市民ら百数十人死傷。米ソ戦略兵器制限条約調印。クウェート侵攻のイラクに対し米主導の多国籍軍出動(湾岸戦争)。ワルシャワ条約機構解体。ソ連国家評議会、バルト三国の独立を承認。12月、ソ連邦解体1992 ヨーロッパ通常戦力条約に調印。ブッシュ、エリツィン米ロ両大統領、敵対から友好へ転換宣言1993 米ロが核弾頭を3分の1に削減するSTARTⅡ条約に調印1994 NATO、旧東側諸国間で平和協定締結。NATO、ボスニア紛争でセルビア人勢力を空襲(ユーゴ紛争)1995 ボスニア平和仲介に英・独・仏・米・ロの連絡調整グループ、国連保護軍の強化で一致1996 NATO、統合部隊発足へ1997 ロシア大統領エリツィン、NATO諸国と基本調停書に調印 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例