日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンザス条約」の意味・わかりやすい解説
アンザス条約
あんざすじょうやく
ANZUS Treaty
正称はSecurity Treaty between Australia, New Zealand and the United States of America。オーストラリア、ニュージーランドおよびアメリカ合衆国の軍事同盟条約。1951年9月1日にサンフランシスコで調印され、翌1952年4月29日に発効した。3国の頭文字により、一般にアンザス条約とよばれる。この条約には、太平洋地域における集団的自衛権の行使や、条約実施のための理事会の設置などが規定されている。条約締結時には、対日講和条約締結後の日本の脅威に備えるというオーストラリアとニュージーランドの意図もあったが、実際にはこの条約は、アメリカの意図に従い、アメリカ・フィリピン相互防衛条約、日米安全保障条約などとともに、太平洋地域におけるアメリカを盟主とする反共軍事同盟の一環をなしてきた。ところがこの条約は、1984年のニュージーランドによる非核政策採用以降、理事会開催の無期延期、アメリカによるニュージーランド防衛義務停止表明などによって、事実上、アメリカとオーストラリアとの二国間条約となっている。2001年オーストラリアは、9月の同時多発テロに対応して、アンザス条約を初めて発動するなどして、アメリカを支援した。
[佐分晴夫]