仏教書。15巻。中国の斉(せい)・梁(りょう)代の学僧、僧祐(そうゆう)(445―518)の作。中国でつくられた経録(仏典目録)のなかで現存(『大正新修大蔵経』55巻所収)するもっとも古いもの。後漢(ごかん)から梁代に至る訳経の記録であるが、経序や経後記などの史料および訳経僧の略伝をも掲げる。道安(どうあん)(312―385)の経録(現欠)が本書の主たるよりどころとなっている。異訳、失訳、疑経について注意が払われているが、まだ大乗・小乗の区別は明示されていない。また南朝の著作のため、北朝については手薄になっている。しかし中国古代の仏教受容を知るうえで不可欠の重要文献である。
[岡部和雄]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…【末木 文美士】
[漢訳大蔵経]
中国における経律論三蔵の漢訳事業は2世紀後半から始まり,11世紀末までほぼ間断なく継続された。漢訳事業の進行に伴い,訳経の収集や分類,経典の真偽の判別が必要となり,4世紀末には道安によって《綜理衆経目録》が,6世紀初めには僧祐によって《出三蔵記集》が作成された。これらの衆経ないし三蔵を,北朝の北魏で〈一切経〉と呼び,南朝の梁で〈大蔵経〉と呼んだといい,隋・唐初に及んで両者の名称が確立し,写経の書式も定着した。…
※「出三蔵記集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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