出部郷(読み)いずべごう

日本歴史地名大系 「出部郷」の解説

出部郷
いずべごう

和名抄」東急本・刊本に「伊都倍」の訓がある。高山寺本は当郷の記載を欠く。「大日本地名辞書」「岡山県通史」ともに郷域を現笠岡市小平井おびらい東大戸ひがしおおど・西大戸と、もと小田郡に属した現井原市岩倉いわくら下稲木しもいなぎ・上稲木大江おおえの地域に比定している。隣接する後月しつき郡にも同名郷があり、大江北方にあたる。郷名については両書とも「出雲部」であったとする。


出部郷
いずべごう

「和名抄」諸本に「以豆へ」、東急本に「以豆倍」の訓がある。郷域については現井原市上出部かみいずえ町・下出部町の地域に比定されている。出部の郷名はもと「出雲部」とあったものを略したもので、「続日本紀」和銅六年(七一三)五月二日条の制によって、地名を二字の好字で表記することになったためと考えられる。推定郷域の西南に接する大江おおえ町・下稲木しもいなぎ町などは、小田おだ郡出部郷の郷域に比定されている。


出部郷
いずべごう

「和名抄」高山寺本・流布本ともに「出部」と記し、高山寺本のみ「伊豆へ」と訓じている。現松山市の南郊、伊予郡砥部とべ町地区に比定される。ここは「伊予砥いよと」の産地として古くから開けており、砥部を土部と書き、土が出と読み誤られたものか、おそらくは「和名抄」の誤記であろう。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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