分子モーター(読み)ブンシモーター

デジタル大辞泉 「分子モーター」の意味・読み・例文・類語

ぶんし‐モーター【分子モーター】

生物の細胞内で、ATPアデノシン三リン酸)の加水分解によって得られたエネルギーを、機械的な運動に変換する分子たんぱく質)の総称筋肉収縮細菌鞭毛回転運動などを担う。キネシンダイニンミオシンなどがある。生体分子モーター。たんぱく質モーター。モーターたんぱく質。

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知恵蔵 「分子モーター」の解説

分子モーター

細胞内で、ATPの加水分解で放出される化学エネルギーを力学エネルギーに変換、様々な細胞運動をつかさどるたんぱく質の総称。モーターたんぱく質ともいわれる。ATP合成酵素のように回転運動をする回転モーターと、細いフィラメント構造の上を滑っていくリニアモーター大別。リニアモーターはさらに、軌道となるフィラメントの違いによって、アクチンモーター(ミオシン)、微小管モーター(キネシン、ダイニン)、DNAモーター(RNAポリメラーゼヘリカーゼ)に分けられる。近年、多数の分子モーターがクローニングされ、X線構造解析、1分子観測技術を用いて実際の滑り運動や回転運動が視覚的に捉えられるようになるなどの技術的発展に支えられて、分子レベルでの化学的・力学的メカニズムが明らかにされつつある。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

化学辞典 第2版 「分子モーター」の解説

分子モーター
ブンシモーター
molecular motor

細胞膜に組み込まれた分子集合体で,膜内外の濃度勾配に従って流れる H を駆動力として回転するタンパク質複合体.微生物のべん毛の回転部分や,ATP合成装置であるミトコンドリアのF0F1ATPアーゼ( > 500 kDa)などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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