切山(読み)きりやま

精選版 日本国語大辞典 「切山」の意味・読み・例文・類語

きり‐やま【切山】

〘名〙
① 山の樹木を切ること。また、その権利。
高野山文書‐建保二年(1214)二月二日・名手庄々官等言上書案「言上 香御薗切山事」
江戸時代鉱山での坑道をいう。探鉱または採鉱の坑道を一般に間歩(まぶ)と称したが、切山はもっと広い意味で使用された。
梅津政景日記‐慶長一七年(1612)三月一五日「間分よりむさと荷を出し候へは、かくし物御座候間、滝の下御切山之所にてさせ申候」
③ 舞台などで、山の輪郭を切り出した張物。切り出し。
歌舞伎・独道中五十三駅(1827)三幕「前通り、画心に土手松の吊り枝。上の方、影を見せたる切(キ)り山(ヤマ)。よき所に誂(あつ)らへの夜啼き石」

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日本歴史地名大系 「切山」の解説

切山
きりやま

[現在地名]川之江市金生町山田井 切山

山田井やまだいの東部山間地帯の称。讃岐国に接し、山深く、秘境といわれる。享保六年(一七二一)の山田井村明細帳に「枝郷きり山 本村より二里程」とある。霧山とも書き、切明山きりあけやまともいう。平家落人伝承があり、安徳天皇が田辺・真鍋・参鍋・間辺・伊藤の五人に守護されて、一時この「切明村土釜どがま」に潜幸したとの伝えによる(田辺家系譜)。天皇の隠れた所という「安徳の窪」(安徳のなるともいう、木峰きのみねの東側)、天皇の仮の御陵という「院の墓」(木峰の南側)などがある。

また伝承をもつ社寺も多い。字下谷しもたに八幡宮上の宮・下の宮と二社あり、下の宮には安徳天皇が佩刀を置いたという「刀石」がある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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