別尊雑記(読み)べっそんざっき

精選版 日本国語大辞典 「別尊雑記」の意味・読み・例文・類語

べっそんざっき【別尊雑記】

  1. 平安末期の仏教書。五七巻。僧心覚撰。密教諸尊について、その図像を記し、梵号・種子・作法などを詳しく述べた書。

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改訂新版 世界大百科事典 「別尊雑記」の意味・わかりやすい解説

別尊雑記 (べっそんざっき)

仏種房心覚(1117-80)撰の図像抄。心覚ははじめ天台の三井寺に入り,ついで真言の醍醐寺賢覚,実運らに小野流をうけ,のち高野山成就院で,仁和寺より来院した兼意から広沢流をうけるなど,広い学識を有した。したがって《別尊雑記》は成就院覚助(仁和寺広沢流)の《別行鈔》,勝定房恵什(仁和寺)の《図像抄》,勝俱胝院実運(醍醐寺)の《玄秘抄》,成蓮房実運(高野山北谷成蓮院)の《成蓮鈔》などの諸鈔をもとに選述されている。仁和寺蔵の57巻(後補11巻を含む)中には心覚自筆の原本が存するが,ほかに鎌倉時代の写本として仁和寺本(了厳本),東寺宝菩提院本,東寺金剛蔵本,唐招提寺本などがある。その内容は如来部,仏頂部,経法部,観音部,菩薩部,忿怒部,天等部甲・乙からなり,みずから収集したものや唐本によった図像を収めているばかりでなく,観法や作法も詳述され,別尊法が尊別に分類収集されているところに特徴がある。《別尊類集抄》とも称される。
仏教図像
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百科事典マイペディア 「別尊雑記」の意味・わかりやすい解説

別尊雑記【べっそんざっき】

真言宗の僧心覚(しんかく)が編集した密教図像集。57巻。平安末期〜鎌倉初期に成立。東密諸尊を尊別に分類し梵号(ぼんごう),密号,種子(しゅじ),三昧耶形(さんまやぎょう)等を詳述し,曼荼羅(まんだら)図を加えたもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「別尊雑記」の意味・わかりやすい解説

別尊雑記
べっそんざっき

『五十巻抄』ともいう。心覚 (1117~80) が保元1 (56) 年高野山に登ってから治承4 (80) 年に没するまでの間に編纂した図像集。 57巻。恵什の『図像抄』や師である兼意の『成蓮抄』をはじめ,東台両密諸流の図像を広範に収集し,唐本図像など異色の図像も多数収録。仁和寺には心覚自筆本とされる写本が伝存する。

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