出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…たとえば大日如来の塔,薬師如来の薬壺,観音の蓮華や水瓶,文殊の利剣などはその一例である。これら手印や持物はまた〈三昧耶形(さんまやぎよう)〉といわれ,これらをもってあらわした曼荼羅(まんだら)を〈三昧耶曼荼羅〉という。【岩松 浅夫】
【仏像と印相】
印は標幟の意で,これで諸尊の内証の徳や本誓をあらわすものとされる。…
…この語の原語は明らかではないが,一般にサンスクリットのkulikaと考えられている。このクリカは古代インド叙事詩《マハーバーラタ》では八大竜王の一で,暗褐色の体をもつとされている。密教の仏典では黒竜の意味に解され,俱梨迦羅竜(王)と呼ばれている。不動明王の三摩耶形(さんまやぎよう)(持物(じもつ)などによって示した形)として,直立の剣に黒竜がまつわりついた形がひろく用いられている。俱梨迦羅紋(くりからもん)などと言われている図像は,すべて黒竜の姿をかたどるところからきている。…
…しかし想念を凝らし,仏を観ることはなかなかむずかしい。それゆえ観想によって得た仏の像を,壇上や画像に描いたり,あるいは壇上に仏像や三昧耶形(さんまやぎよう)などを配列したりする形像曼荼羅が作られるようになる。
[曼荼羅の発達]
古代インドにおいては呪句(陀羅尼dhāraṇī)をとなえ,印契(いんげい)(印相(いんぞう)mudrā)で修法を凝らす信仰がよく行われていた。…
※「三摩耶形」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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