制吐剤(読み)セイトザイ

デジタル大辞泉 「制吐剤」の意味・読み・例文・類語

せいと‐ざい【制吐剤】

吐き気を抑える薬剤。制吐薬鎮吐剤吐き気止め

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精選版 日本国語大辞典 「制吐剤」の意味・読み・例文・類語

せいと‐ざい【制吐剤】

  1. 〘 名詞 〙 吐き気、嘔吐をとめる薬剤。ルミナールベロナール塩酸コカインなど。

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病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「制吐剤」の解説

制吐剤

製品名
《アザセトロン塩酸塩製剤》
セロトーン(日本たばこ産業、鳥居薬品)
《アプレピタント製剤》
イメンド(小野薬品工業)
《インジセトロン塩酸塩製剤》
シンセロン(ヤクルト本社、杏林製薬)
《オランザピン製剤》
オランザピン(ニプロESファーマ、第一三共エスファ、第一三共、共和薬品工業、高田製薬、マイラン製薬、ファイザー、日医工、日新製薬、杏林製薬、キョーリンリメディオ、日本ジェネリック、大原薬品工業、東和薬品、エルメッド、エーザイ、陽進堂、武田薬品工業、武田テバファーマ、ニプロ、ダイト、三和化学研究所、Meiji Seika ファルマ、小林化工)
オランザピンOD(共和薬品工業、日本ジェネリック、高田製薬、武田薬品工業、武田テバファーマ、東和薬品、ダイト、ファイザー、日医工、杏林製薬、キョーリンリメディオ、大原薬品工業、ニプロESファーマ)
ジプレキサ(日本イーライリリー)
ジプレキサザイディス(日本イーライリリー)
《オンダンセトロン製剤》
オンダンセトロンOD(ツキオケフィルム製薬、ミヤリサン製薬)
ゾフラン(ノバルティス・ファーマ)
ゾフランザイディス(ノバルティス・ファーマ)
ゾフラン小児用(ノバルティス・ファーマ)
《グラニセトロン塩酸塩製剤》
カイトリル(中外製薬)
グラニセトロン(日医工、日本ケミファ
《ラモセトロン塩酸塩製剤》
ナゼアOD(アステラス製薬)

 吐き気や嘔吐おうとを抑える作用のある薬です。


 オンダンセトロン製剤インジセトロン塩酸塩製剤は、各種抗ガン剤の使用に伴っておこる吐き気・嘔吐おうとなどの消化器症状を強力に抑える作用があります。


 ラモセトロン塩酸塩製剤は、腹部の迷走神経にはたらきかけて制吐作用を示すもので、抗ガン剤シスプラチンなど使用による吐き気嘔吐などの消化器症状の治療に用いられます。


 グラニセトロン塩酸塩製剤アプレピタント製剤アザセトロン塩酸塩製剤オランザピン製剤は、各種抗ガン剤の使用に伴っておこる吐き気・嘔吐などの消化器症状を抑える薬で、強い吐き気、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチンなど)の使用に限り用います。アプレピタント製剤は遅発期の症状、オランザピン製剤は、統合失調症、双極性障害における躁症及びうつ症状にも効果があります。


発疹ほっしんなどの過敏症状をおこすことがあります。過敏症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に報告してください。


オンダンセトロン製剤では、ショック、アナフィラキシー、てんかん様発作が現れることがあります。このような症状が現れたときは、使用を中止してすぐ医師に報告してください。また、頭痛、頭重感、ふるえ、しゃっくり、一過性の視力異常(かすみ目など)、ねむけ、下痢、便秘、肝機能障害、全身倦怠感ぜんしんけんたいかん、熱感、発熱などが現れることがあります。こうした症状が現れたときは、医師に報告してください。


 アザセトロン塩酸塩製剤グラニセトロン塩酸塩製剤ラモセトロン塩酸塩製剤では、ショック、アナフィラキシーがおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に報告してください。また、頭痛、頭重感ずじゅうかん、ねむけ、発熱、下痢、便秘、腹部膨満感、下血、腎機能障害などがおこることがあります。こうした症状が現れたときは、医師に報告してください。


 インジセトロン塩酸塩製剤では、体温上昇、しゃっくり、頭痛、腹痛、血液障害、肝・腎機能障害、発熱、関節痛、排尿困難などがおこることがあります。こうした症状が現れたときは、医師に相談してください。


 アプレピタント製剤では、皮膚粘膜眼症候群、穿孔性せんこうせい十二指腸潰瘍、アナフィラキシーがおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に報告してください。また、発疹、不眠症、めまい、不整脈、ほてり、しゃっくり、便秘、食欲不振、頭痛、下痢、悪心、消化不良、疲労、口内炎、蛋白尿たんぱくにょう、肝機能異常などがおこることがあります。こうした症状が現れたときは、医師に報告してください。


 オランザピン製剤では、高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡、低血糖、悪性症候群、肝機能障害、黄疸おうだんけいれん遅発性ジスキネジア、横紋筋融解症、麻痺性イレウス、無顆粒球症、白血球減少肺塞栓症深部静脈血栓症、薬剤性過敏症症候群がおこることがあります。このような症状がおこったときは使用を止め、すぐ医師に報告相談してください。そのほか、興奮、傾眠、不眠、めまい、ふるえ、便秘、口の渇き、肝機能異常、脂質異常症、倦怠感などがおこることがあります。こうした症状が現れたときは、医師に報告してください。


①錠剤、カプセル剤、散剤、シロップなどがあり、オンダンセトロン製剤アザセトロン塩酸塩製剤インジセトロン塩酸塩製剤グラニセトロン塩酸塩製剤ラモセトロン塩酸塩製剤は1日1回服用です。アプレピタント製剤オランザピン製剤は、1日1回の服用で、副腎皮質ステロイド剤、アザセトロン塩酸塩製剤、オンダンセトロン製剤、インジセトロン塩酸塩製剤、グラニセトロン塩酸塩製剤、ラモセトロン塩酸塩製剤、そのほかにオランザピン製剤は、アプレピタント製剤と併用して服用します。かってな判断で中止または増量・減量せず、医師・薬剤師の指示をきちんと守ってください。また、服用するときは十分な水で飲んでください。


②この薬の成分に対して過敏症の既往歴がある人、アプレピタント製剤では、ピモジド剤を使用中の人、オランザピン製剤では、昏睡状態の人、バルビツール酸誘導体などの中枢神経抑制剤の強い影響下にある人、アドレナリン使用中の人、糖尿病の人、糖尿病の病歴がある人は使えません。


③問診の際にあらかじめ、持病・アレルギーなどの体質・現在使用中の薬の有無を必ず医師に報告してください。オンダンセトロン製剤グラニセトロン塩酸塩製剤では、セロトニン作用薬、アプレピタント製剤は、イトラコナゾール、エリスロマイシンリファンピシンエチニルエストラジオール(この薬の使用中及び最終使用から1か月間は代替避妊法もしくは補助的避妊法を用いる必要があります)、ワルファリンカリウムなどを使用中の人や重度の肝障害の人は、医師に相談してから用いてください。


④過去にこれらの薬で過敏症状をおこしたことのある人、重い肝機能障害のある人、高齢者などは、あらかじめその旨を医師に報告してください。薬によっては使用できないことがあります。


⑤妊婦、現在妊娠する可能性のある人、母乳で授乳している人は、使用できないことがあります。あらかじめその旨を医師に報告してください。


⑤これらの薬を使用中に、ほかの薬を使用する必要が生じたときは、前もって必ず医師・薬剤師に相談してください。


オランザピン製剤では、ねむけ、注意力の低下などが現れることがあるので、自動車運転や危険な作業は避けてください。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「制吐剤」の意味・わかりやすい解説

制吐剤
せいとざい

鎮吐剤ともいい、吐き気、嘔吐(おうと)を止める薬剤。嘔吐は、延髄に存在する嘔吐中枢を直接刺激する場合と、それに近接する化学受容体引き金帯を刺激する場合におこる。したがって制吐剤には、中枢性に嘔吐を止める薬物と、末梢(まっしょう)性に作用するものとがある。制吐作用は嘔吐の原疾患を隠蔽(いんぺい)することがあるので、制吐剤を用いるにあたっては、まず原疾患を調べることがだいじである。

 もともと制吐剤は、乗り物酔いなどの加速度病(動揺病)と妊娠中の吐き気の治療に重点が置かれていたが、やがて制癌(がん)剤の副作用である吐き気と嘔吐の予防、治療に焦点があてられるようになった。以前は副作用の発現により制癌剤投与の中止を余儀なくさせられる場合があったが、新しく開発された制吐剤により制癌剤投与が可能となり、癌治療になくてはならない医薬品となっている。

[幸保文治]

中枢性制吐剤

中枢神経抑制薬であるバルビツール酸系およびブロム化合物がこれに属する。抗ヒスタミン剤でもあるジメンヒドリナート(「ドラマミン」)、ジフェンヒドラミンとジプロフィリンの合剤(「トラベルミン」)などは、乗り物酔いに伴う悪心(おしん)、嘔吐を抑制するためによく用いられる。フェノチアジン系トランキライザーのなかで制吐作用の強いものとして、クロルプロマジンのほかにプロクロルペラジン、ペルフェナジンなどがある。そのほか特異的ドパミン拮抗(きっこう)物質であるドンペリドン(「ナウゼリン」)は強い制吐作用を有し、制癌剤の副作用である嘔吐によく用いられる。

 制癌剤(シスプラチン等)の投与に伴う吐き気、嘔吐の予防と治療を目的として開発されたのがセトロニン(5-HT3)受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、トロピセトロン、インジセトロン、パロノセトロン)と選択的ニューロイキン1(NK1)受容体拮抗薬(アプレピタント)でとくにパロノセトロンとアプレピタントは遅発性の嘔吐にも有効である。

[幸保文治]

末梢性制吐剤

局所麻酔薬であるアミノ安息香酸エチル、アトロピンやスコポラミンおよびその類似薬である副交感神経遮断薬、シュウ酸セリウム、生薬(しょうやく)では半夏(はんげ)(カラスビシャクの地下茎)があげられる。スコポラミンは乗り物酔いに有効。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「制吐剤」の意味・わかりやすい解説

制吐剤
せいとざい
antiemetic

鎮吐薬ともいう。吐き気や嘔吐をしずめる薬剤。嘔吐中枢に作用する薬剤と,胃壁の刺激をゆるめて吐き気を抑制する薬剤がある。前者には,催眠剤やブロム剤のほか,クロルプロマジンのようなトランキライザの系統のものも用いられ,後者には,アネステジン,塩酸コカインなどが用いられる。別に乗物酔いによる吐き気には,抗ヒスタミン剤を応用したクロルサイクリジンなどが用いられている。

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栄養・生化学辞典 「制吐剤」の解説

制吐剤

 嘔吐を抑制する薬剤.中枢に作用するもの,末梢に作用するものがある.

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