スコポラミン(読み)すこぽらみん(英語表記)scopolamine

翻訳|scopolamine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スコポラミン」の意味・わかりやすい解説

スコポラミン
すこぽらみん
scopolamine

ナス科の植物のヒヨス種子や葉、ヨウシュチョウセンアサガオ、シロバナチョウセンアサガオの種子などから得られるアルカロイドの一つで、ヒヨスチンhyoscineともよばれる。

 ヒヨスチアミンとともに存在し、日本薬局方にはスコポラミン臭化水素酸塩水和物として収載されている。副交感神経遮断薬で、その作用は一般的にアトロピンより速く、消失も速い。鎮けい剤として麻薬と併用して用いられる。代表的なものにアヘンアルカロイドスコポラミン注射液、弱アヘンアルカロイドスコポラミン注射液がある。麻酔前投与薬としても用いられ、また、特発性および脳炎後パーキンソニズムを適応とする。

 また、スコポラミン臭化水素酸塩水和物の注射液のほか、誘導体であるブチルスコポラミン臭化物(錠剤、注射液、坐薬(ざやく))、メチル硫酸N‐メチルスコポラミン(錠剤)が、それぞれ胃・十二指腸潰瘍(かいよう)などのけいれん性疼痛(とうつう)の緩和に繁用されている。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スコポラミン」の意味・わかりやすい解説

スコポラミン
scopolamin

ヒヨスチンともいう。アトロピンと同様,ベラドンナ,ロート,マンダラ,ヒヨスなどのナス科の植物の葉や根に含まれるアルカロイド。副交感神経遮断剤である。抗アセチルコリン作用はアトロピンと同じである。中枢神経系に対しては,アトロピンがまず興奮的に作用し,次いで抑制に移るのに対して,スコポラミンは最初から抑制的に作用する。主として運動機能の興奮を抑制し,睡眠を誘発するが,感覚機能抑制作用はない。臨床的には,鎮痙,鎮静の目的のほか,精神病の発揚状態,パーキンソン症候群のように筋強直や振戦をきたす疾患麻酔前投薬消化性潰瘍などに,臭化水素酸スコポラミンが用いられる。副作用は一般の副交感神経遮断剤と同様である。

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