刺細胞(読み)しさいぼう

日本大百科全書(ニッポニカ)「刺細胞」の解説

刺細胞
しさいぼう

腔腸(こうちょう)動物に特有で、刺胞とよばれる構造体を生産しかつ内蔵する細胞。ヒドロ虫類では触手の表皮、ハチクラゲや花虫(かちゅう)類では表皮と胃腔壁に分散している。細胞の外表面に刺針などがあり、これが刺激されると刺胞が発射される。刺胞は卵形で、渦巻状に曲がる刺管(刺糸)を格納する。刺管の基部は刺胞の前端に内接するが、先端は遊離している。一般に刺胞は、内蔵する刺管の先端が閉鎖または開放しているかによって大別され、構造と機能の違いによって多型に細分される。次に機能を異にする刺胞の3例をあげる。第一は開放型の刺管で、針をもち、射出されると小魚などの餌(えさ)を突き刺し、毒液を注射して殺す。第二は閉鎖型の刺管で、射出されると餌に巻き付いて運動を弱める。第三は閉鎖型のねばねばした刺管で、ヒドラなどが触手を用いて移動するときに射出して体を支える。原生動物や紐形(ひもがた)動物にも刺胞に似た構造体がある。

[片島 亮]

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精選版 日本国語大辞典「刺細胞」の解説

し‐さいぼう ‥サイバウ【刺細胞】

〘名〙 刺胞動物のクラゲ・ヒドラ類などの体表に含まれる特有な細胞。細胞の中央部にある球形、卵形の袋で、中に毒汁と螺旋形に巻いた刺糸を収める。外部からの刺激によって毒液を含んだ刺糸が飛びだし、捕食や防御に役立つ。カツオノエボシなど人体に激痛を与えるものもある。刺胞。

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世界大百科事典内の刺細胞の言及

【イソギンチャク(磯巾着)】より

…触手は大部分が中央に近い列から6の倍数の本数が並んでいる。触手には,刺細胞という毒液を内蔵した一種の武器が多数埋めこまれていて,触手に小魚や他の餌が触れると刺糸がとびだして相手の体に突き刺さり,毒液で麻痺させてから触手で口の中へ運ぶ。口から円筒状の食道に続き,その奥は広い大きな室の胃腔になっている。…

【刺胞】より

…クシクラゲ類を除く他のすべての腔腸動物にみられる顕微鏡的な構造物で,一動物個体内に多数が存在し,食物の捕捉や,捕食者また妨害者など敵に対する防衛の役割をもっている。刺胞は刺細胞nemarocyte(cnidoblast)とよばれる細胞内にそれぞれ1個ずつ含まれる細胞器官で,一般には球形ないし卵形などであるが,その形態には20余種類の型が区別されている。これら刺胞のうち最もふつうのものは貫通刺胞(または普通刺胞)とよばれるもので,その内腔中に1本の中空の刺糸を内蔵しており,この刺糸がある刺激によって反転して翻出し,一瞬のうちに相手動物の体内へ打ち込まれ,その刺糸を通って内腔中の毒液が注射される。…

※「刺細胞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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