労働者派遣(読み)ロウドウシャハケン(英語表記)dispatch of workers

デジタル大辞泉 「労働者派遣」の意味・読み・例文・類語

ろうどうしゃ‐はけん〔ラウドウシヤ‐〕【労働者派遣】

派遣事業者が、自己の雇用する労働者を他の事業者事業所に派遣し、派遣先の指揮命令を受けて労働に従事させること。→労働者供給事業

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共同通信ニュース用語解説 「労働者派遣」の解説

労働者派遣

人材派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業で指示を受けて働く仕組み。雇う会社と仕事を命じる企業が違うため「間接雇用」と呼ばれる。従来、企業の派遣受け入れ期間は秘書通訳といった専門業務を除く一般業務で最長3年だったが、2015年の改正労働者派遣法施行でこの区分をなくし、一律のルールで期間制限を撤廃。3年ごとに別の派遣労働者と入れ替えることなどを条件に、同じ職場で派遣労働者を使い続けられるようになった。安倍政権が進める労働分野の規制緩和一環。企業は業務量に応じて人数を調整しやすく、労働者には雇い止めの不安が付きまとう。厚生労働省によると、派遣労働者は昨年6月時点で約156万人。

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知恵蔵 「労働者派遣」の解説

労働者派遣

1980年代以降、正社員の採用を手控え、代わって企業の必要に応じて労働者を派遣する仕組みが拡大した。労働者派遣の特徴は、「実際に就労関係にある当事者と、雇用関係にある当事者が異なる」点にある。また、派遣するのは労働力であって、「特定の労働者」ではないということも特徴である。自社常用労働者のみを派遣する特定労働者派遣事業と、それ以外の主として登録スタッフをそのつど採用し、派遣する一般労働者派遣事業の2種類がある。前者には届け出制、後者には許可制が採用されている。85年の労働者派遣事業法の制定(86年7月施行)以降、人材派遣市場は、派遣事業に関わる売上高に反映されるように波動を伴いつつも拡大してきた。その後、業務の効率化のために人材派遣の自由化を望む企業の声が強まり、2004年3月施行の改正法では、条件付きだが派遣期間上限の延長(1年から3年に)や、専門性の高い26業務について期間制限の撤廃、製造業務への派遣解禁、などが盛り込まれた。また、一定の条件下で、企業が正社員に切り替えることが可能となった。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)

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